【番外編】日本海軍海上戦力
今回は本編を少し離れて、1953年時点における日本海軍の海上戦力と、主力艦艇について簡単に紹介します。
また、本作は史実とは異なる歴史を辿った世界を舞台としているため、それぞれの艦について「史実との違い」も簡単に紹介していきます。
■ 1953年時点の海上戦力
・軽航空母艦:1隻
・軽巡洋艦:1隻
・駆逐艦:約10隻
・海防艦:約15隻
・掃海艦艇:約20隻
・輸送艦、補給艦、練習艦など:約10隻
・予備保管艦:戦艦1隻
・保有艦艇:約60隻
このうち第一線で艦隊行動を行える戦闘艦は、それほど多くありません。
主力は太平洋戦争を生き残った旧海軍艦艇と、戦後に米国から供与された艦艇です。
1953年時点では戦後設計の国産主力艦はまだ就役してはいないが、現在進行形で国産駆逐艦の建造計画が進んでいます。
【史実との違い】
史実の日本では帝国海軍は解体され、1952年に海上警備隊が発足。その後、1954年に海上自衛隊が発足します。
一方、本作では終戦後の掃海・復員輸送組織から海軍組織が細々と存続。
冷戦の激化によって日本の再武装が史実より早く進み、1948年に文民統制下の「日本海軍」として再編されています。
■ 軽航空母艦「隼鷹」
1953年の帝国海軍を象徴する存在。
戦時中の航空母艦をそのまま使っているわけではなく、大規模な戦後改装を受けた「新しい海軍のための古い空母」です。
【1953年時点・主要諸元】
・艦種:軽航空母艦
・基準排水量:約24,000トン
・満載排水量:約30,000トン
・全長:約219メートル
・最大速力:約25ノット
・乗員:約1,300名
・搭載機:約24機
・所属:第一艦隊
・母港:呉
・搭載部隊:第一〇一海軍航空隊
【主な搭載機】
・TBM-3S「海燕一型」:艦上対潜機
・Fairey Firefly「蛍一型」:艦上哨戒機
・S-51:救難・連絡用回転翼機
【史実との違い】
史実の隼鷹は終戦時に佐世保で損傷した状態で残存しました。
戦後は復員輸送艦への改装も検討されましたが、機関などの状態から使用されず、最終的に1946年から翌年にかけて解体されています。
本作では解体されず、戦後初期に輸送用途で使用された後、朝鮮戦争をきっかけに再評価。
1951年から大規模な近代化工事を受け、1953年に軽航空母艦として復帰しました。
ただし、かつてのような攻撃空母ではありません。
主な任務は対潜哨戒、船団護衛、救難、そして海軍航空隊の教育となっています。
■ 軽巡洋艦「酒匂」
1953年時点における第一艦隊旗艦。
戦後改装によって通信・指揮能力が強化され、新しい海軍の艦隊司令部として使用されています。
【1953年時点・主要諸元】
・艦種:軽巡洋艦
・基準排水量:約7,000トン
・全長:約174メートル
・最大速力:約32ノット
・乗員:約700名
・主砲:15.2センチ連装砲×3基
・魚雷兵装:縮小
・対空・対水上レーダー:装備
・戦闘指揮所(CIC):設置
・所属:第一艦隊
・任務:艦隊旗艦
【史実との違い】
史実では終戦後に復員輸送へ使用された後、米国へ引き渡されました。
その後、1946年のビキニ環礁における原爆実験「クロスロード作戦」の標的艦となり沈没しています。
本作では米ソ関係の悪化によって引き渡しが中止。
日本に残された酒匂は近代化改装を受け、再建された帝国海軍の旗艦となっています。
■ 駆逐艦「雪風」
第一艦隊に所属する主力駆逐艦。
旧海軍の生き残りであると同時に、戦前の海軍と戦後の海軍をつなぐ存在でもあります。
【1953年時点・主要諸元】
・艦種:駆逐艦
・基準排水量:約2,100トン
・全長:約118メートル
・最大速力:約33ノット
・乗員:約250名
・主砲:12.7センチ連装砲×2基
・魚雷兵装:縮小
・対潜装備:ソナー、爆雷など
・対空・対水上レーダー:装備
・所属:第一艦隊
・主な任務:空母護衛、対潜哨戒、教育
【史実との違い】
史実の雪風は終戦後、復員輸送に従事。
1947年に賠償艦として中華民国へ引き渡され、「丹陽」と改名されました。
本作では1947年の賠償艦引き渡しが国際情勢の変化によって凍結されたため、日本に残留しています。
その後、レーダーやソナーを中心とした戦後改装を受け、第一艦隊へ復帰。
戦闘任務だけでなく、戦争を経験した乗員から戦後世代へ技術を伝える役割も担っています。
■ 駆逐艦「響」
海軍の技術試験を担当する駆逐艦。
外見こそ旧海軍の駆逐艦ですが、その内部には米国から導入された新しい電子装備が次々と取り付けられています。
【1953年時点・主要諸元】
・艦種:駆逐艦/技術試験艦
・基準排水量:約2,000トン
・全長:約118メートル
・最大速力:約30ノット
・乗員:約230名
・魚雷兵装:大幅縮小
・新型ソナー:搭載
・対空・対水上レーダー:搭載
・各種試験装備:搭載
・所属:海軍技術研究部
・主な任務:電子装備試験、対潜戦術研究
【史実との違い】
史実の響は終戦後に復員輸送へ使用され、1947年に賠償艦としてソビエト連邦へ引き渡されました。
ソ連では「ヴェールヌイ」などの艦名で使用された後、最終的に標的艦となっています。
本作では雪風と同様に日本へ残留。
戦後は新型レーダーやソナーの試験艦となり、その成果は後に登場する国産駆逐艦へ引き継がれていきます。
■ 戦艦「長門」
かつて聯合艦隊旗艦を務めた戦艦。
ただし1953年時点では現役戦力ではありません。
【1953年時点】
・艦種:戦艦
・状態:武装解除・予備保管
・基準排水量:約39,000トン
・全長:約225メートル
・所在地:横須賀
・現役復帰予定:なし
・戦力への算入:なし
【史実との違い】
史実では終戦後に米軍へ接収され、1946年のクロスロード作戦に標的艦として参加。
二度の核実験を受けた後、ビキニ環礁で沈没しました。
本作では酒匂と同様、国際情勢の変化によって米国への移送が中止され、日本に残っています。
ただし帝国海軍が再建されても、長門が戦艦として復活することはありませんでした。
維持費、必要人員、燃料消費、そして航空機を中心とする戦後海戦への変化から、現役復帰は非現実的と判断されています。
1953年現在も横須賀に係留され、その保存か解体かを巡って議論が続いています。




