8-4・金熊討伐
「・・・あれ?」
眼を開けると、目の前には心配そうに見つめる粉木の爺さんが、そして体の上には紅葉が俺を抱きしめるようにして、体を重ねて俯せになっている。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「助けられたようやな、燕真!」
「お・・・俺は・・・?」
「お嬢には、当分は足を向けて眠られへんで!」
「・・・紅葉?」
黒ずんでいた全身が、血色のある生気色に戻っている。起き上がり、体を重ねていた紅葉の肩を抱いて、名を呼ぶ。
「・・・良かった。ちゃんと帰ってきたんだね、燕真。」
「あぁ!だって、オマエが導いてくれたんだろ!!」
「・・・ぅん」
「オマエは大丈夫なのか?」
「・・・ぅん。チョット疲れちゃったけどね。
・・・でも・・・燕真が元に戻って良かった。」
「なぁ、紅葉・・・オマエ、ガキの頃・・・・・」
「ん?」
「いや・・・何でもない!大切なのは、過去じゃなくて、今だ!!」
脱力している紅葉を労りながら立ち上がり、東の空(富運寺側)を睨み付ける。
「じいさん・・・紅葉のこと、頼む!」
「任しとき!」
左手首に巻いたYウォッチを正面に翳して、『閻』と書かれたメダルを抜き取って指で真上に弾き、右手で受け取ってから、一定のポーズを取りつつ、和船型バックルの帆の部分に嵌めこんだ!
「幻装っ!!」
《JAMSHID!!》
電子音声が鳴ると同時に全身が光に包まれ、妖幻ファイターへの武装化完了!
「これは・・・俺を導いてくれた光。・・・紅葉の光?」
直ぐ近くに【一粒の眩い光】が浮いていた。【一粒の眩い光】にそっと触れる。
《EXTRA!!》
全身から光が発せられ、腕、肩、胸、腰、脛、そしてマスク、各プロテクターが変化をする!窓ガラスに映る俺の姿は、雄々しく精悍な姿をしていた!
「これは・・・一体?」
妖幻ファイター・EXTRA誕生!
「燕真・・・・その姿は一体なんや?」
爺さんが俺を見つめている。その表情から、この変化が「爺さんにも想定外」と解る。
「閻魔様が、燕真にちゃんと力を貸してくれた姿だよ。
きっと、燕真が、闇の力に勝ったから・・・」
「お嬢が闇を封じ込めた結果っちゅうわけか?」
何がどう好転して今に至ったのか、俺には全く解らない。だけど、「紅葉のおかげ」ってことだけは、何となく解る。
「そっか・・・ありがとな、紅葉!!」
紅葉を見て頷いた後、マシンOBOROを召還して飛び乗った!妖幻システムのセンサーは、これまでに経験したことの無い妖気が、富運寺に集まっていることを告げている!
「ガンバレ・・・60点。」
「おうっ!いってくるっ!」
公道に出てマシンOBOROを加速させから、時空の歪みを発生させて飛び込んだ!
-富運寺-
ワームホールを抜けるて寺の境内に飛び出す!その先では、狗塚(妖幻ファイター)が金熊童子を含めた5体の鬼達と戦っていた!
「間に合ったっ!狗塚!!身を屈めろ!!」
「・・・・なっ!!?」
「そこに突っ立ってたら邪魔って言ったんだ!!」
アクセルを捻り、マシンOBOROを加速させて、狗塚の真横を通過!ハンドル脇のスロットに『炎』メダルを装填して車輪から炎を発し、鬼の軍団に突撃する!
「オマエは、イバさんの闇に食われて死んだはず!!」
「色々あって死なずに済んだんだ!」
「そんなバカな!?有り得ない!
イバさんの闇を祓うなんて、イバさんよりも上位妖怪でなければ不可能だ!!」
炎を纏ったマシンOBOROで、金熊童子とザコ鬼4匹を纏めて弾き飛ばした!直撃を喰らったザコ4匹は闇霧となって蒸発をする!
「・・・・生きていたのか、佐波木?」
狗塚(妖幻ファイター)が寄ってくる。
「なんとかな!心配かけてすまない!」
「その姿は?」
「俺にも説明できね~けど、こうなった!
・・・乗れ!この先にボス格がいるんだろ?」
「ああ!茨城童子は仏殿にいるはずだ!」
互いの眼を見て頷き合い、マシンOBOROのタンデムに狗塚(妖幻ファイター)を乗せて仏殿へと向かう!
「い、行かせるかよっ!」
その真正面、行く手を阻むように、半身の焼け爛れた金熊童子が立ちはだかった!
「金熊童子!さすがに、朧ファイヤーだけじゃ倒せないか!」
「任せろ!俺が仕留める!」
タンデムの狗塚(妖幻ファイター)が、鳥銃・迦楼羅焔に白メダルを装填!半身を俺(妖幻ファイター)の背中の外側に出して、鳥銃を両手で構えて、正面の金熊童子に狙いを定める!
「ちょっと待て、狗っ!」
ギガショット発動!同時に、発砲の反動でマシンOBOROは蛇行する!
「わぁぁぁっっっ~~~~~~~~~~・・・無茶しすぎだ!!」
必死になってカバーするが、操作不能状態からは立ち直れず、俺達を乗せたまま山門脇の回廊に突っ込んだ!
愛車が西陣シート&九谷焼サイドカバーで格好悪くカスタマイズされている理由は、朧車を憑依させてマシンOBOROとして扱う為・・・なのだが、今の自損事故で、彼岸カバーは粉々に割れてしまった。
「相手が宿敵だからって、周りが見えなくなって見境無く攻撃するのはやめろっ!」
「す、すまん!」
金熊童子が断末魔の言葉を発して爆発四散をしたが、チョット構っている余裕が無い。
「弁償費用は請求するからな!」
「そうしてくれ!」
「オマエの所為で彼岸カバーが割れたんだから、オマエが爺さんに謝れよ!」
「し、承知した。」
「・・・てか、主人公がパワーアップ直後の初仕事が、物損事故ってなんだよ!?」
朧車が憑けない状態に成ったホンダVFR1200Fが虚しく横たわる。愛車で颯爽と敵本陣に乗り込むつもりだったのに無理っぽい。仕方が無いので、走って仏殿へと向かう。




