8-1・茨城童子の罠
茨城童子は容赦無く間合いを詰めて両手の鋭い鬼爪を振るい、俺(妖幻ファイター)は防戦一方になって妖刀で受け流す!
「ふははははっ!先程までの威勢はどうした、小僧!?」
「くそっ!」
急激に体が重くなったように感じる。ベルトの和船型バックルから放出した闇が広がって纏わり付いて妨害しているように思える。
「くそっ!どうなっているんだ!?」
「貴様如きが御館様の力を振るった罪は、万死に値する!」
「なにっ!?」
「マヌケめ!御館様に蝕まれていることにすら気付かぬか!?」
茨城童子が間合いを空けて掌を翳す!途端に、和船型バックルから放出していた闇が広がって、俺(妖幻ファイター)の全身を包んだ!
「いつ私が布石を打っておいたのか、思慮の浅い人間如きには想像できまい!」
俺は、数日前の優麗高での戦いを思い出していた。あの時の茨城童子は、劣勢の状況下で、俺に向けて鬼印を放った。当時は「何故、ダメージにならない鬼印を発生させた?」と疑問に感じたが、それはベルトに装填された『酒』メダルを暴走させる為。
「メダルが外せなくなったのも・・・オマエに仕業?」
「無論だ!ベルトに根付かせ、武装化をする度に貴様を浸食するようにな!」
妖怪が出現する度に『酒』メダルが外れなくなったシステムで武装化をして闇に蝕まれていたのに、霊感の無い俺は身体の異常に気付けなかったのだ。
「退けば見逃すと警告はした。聞く耳を持たなかった貴様が愚かなのだ。」
「う・・・うわぁぁっっっっっっっっっ!!!」
全身の至る所で小爆発が発生!全身に力が入らなくなり、武装化が強制解除をされ仰向けに倒れる!
「佐波木っ!」
「燕真っ!」×2
交戦中の狗塚が振り返る!駆け付けてきた紅葉と爺さんが叫ぶ!
和船型バックルから吐き出された『酒』メダルを拾い上げる茨城童子!だが、それで終わりではなく、動けなくなった俺の胸ぐらを掴んで力任せに引っ張り上げ、狗塚を睨み付けた!
「狗塚の小倅よ、貴様に選ばせてやる!
この小僧の命と引き替えに、貴様の持つ御館様の封印されしメダルを渡すか、
この小僧の頭を握り潰した上で、我らと戦ってメダルを奪い取られるか、
どちらが良い!?」
「狗っ!お、俺に・・・構・・・ぐぁぁぁっっっ!!」
朦朧とする意識のまま、突っぱねるように要求をするが、話している途中で茨城童子に締め上げられて悲鳴しか上げられなくなる。
「くっ!要求に応えれば、佐波木の命は取らないのだな!?」
「フン!一握りの雑草を惜しむ者がいるか?
摘むも放置するも、気分次第。
この程度の小僧、生かしてやったところで、我らには何の障害にもならん。
殺す価値すら無いと言うことだ。」
茨城童子の価値観では、俺の命は道に生えた雑草と同じ。その生死など、眼中には無いのだ。
「わ、解った・・・要求をのもう。」
狗塚は武装化を解除。Yウォッチから『酒』メダルを抜き取り、名残惜しそうに数秒ほど眺め、茨城童子に向けて投げて渡す。それは、俺には意外が光景だった。
「約束は守ってもらう。」
「フン!反故にする価値すら無い!」
掴み上げられていた俺は乱雑に放り投げられて地面を転がる。
「さぁ・・・行くぞ!金熊童子!」
「えっ?コイツ等を殺さないのかよ?」
「放っておいても何もできまい。
我らが優先すべきは、手負いの虫けらを潰すことではなく、御館様の復活だ。」
姿を闇霧に変えて飛び上がる茨城童子。金熊童子が後に続き、2体は富運寺内に入っていった。
鬼の幹部達が去ると同時に、狗塚&紅葉&爺さんが駆け寄ってきたが、そこで俺の意識は途切れる。
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