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7-2・金熊童子

「燕真っ!」


 紅葉が生徒玄関から駆け出してきた!


「ちょうど良いって言うか、ちょうど良すぎる!何でオマエが?」

「窓から、燕真が来るのを見てたのっ!」

「外の風景を眺めるくらいはできたとしても、なんで教室を抜け出せるんだよ?

 今は授業中じゃないのか?」

「そ~なんだけど、学校全体がモヤモヤして、みんな、ボケーッとしてて変なの!

 授業をやってるだけなのに、一生懸命走ったあとみたいにヘロヘロなの!

 ァタシのクラスだけぢゃなくて、他のクラスも同じなの!」

「オマエは大丈夫なのか?」

「ちょっと調子悪いけどダイジョブ。」


 無理をして結界内に突入して正解だったようだ。


「やっぱり、なんか有ったんだねっ!?」

「まぁ~な!付いてきてくれ!」

「んっ!」


 紅葉を連れ、階段を駆け上がり、背で紅葉を隠しながら、塔屋の入口から顔を出す。


「怪しい場所、解るか?」

「屋根の上(塔屋の上)が超気持ち悪い感じっ。

 それから、あっちの方(屋上の真ん中くらい)に別のモヤモヤがあるね。」

「どっちのモヤモヤの所為でボケーッとさせられているか解るか?」

「上に有るヤツだよ。」

「了解!オマエはここに隠れてろ!」


 狗塚からは、「結界の起点と生命吸収の呪いがある」「最優先で結界を潰せ」と聞いている。手元にある白メダルは5枚。結界起点の破壊に何枚の白メダルが必要なのか、予想も付かない。


「まぁ・・・いいか!」


 決意を固めて塔屋から飛び出して突っ走り、手の中に握られた5枚の白メダル全てを、紅葉が指定した場所に向かっバラ蒔いた!5枚も必要かどうか解らないが、失敗をするよりはマシだし、優麗高の危機的状況を解消すれば大きくプラス査定をされて赤字にならずに済むかもしれない。


「これでどうだっ!」


 俺には結界が起動中なのか解除されたのか、全く解らない。だから、振り返って、塔屋の入口から顔を出している紅葉に確認をする・・・が、聞く必要は無かったようだ。


「オマエっ!」


 塔屋の上で鬼が睨み付けている。上半身が裸で、全身が黄色くて、逆立った金髪の少年。ヤツの表情を見れば解る。結界解除に成功したので、ヤツは怒りの眼を俺に向けているのだ。


「テメーっ!結界を消しやがったなっ!

オイラがイバさんに怒られちまうじゃねーかっ!」

「オマエの都合なんて知らねーよ!」


 あとは、鬼共を討伐して‘生命力吸収の呪印’とやらを潰すだけ。白メダルは使い切ってしまったので鬼の封印はできないが、戦って弱らせれば、あとは狗塚が何とかしてくれるだろう。


「幻装っ!」


 妖幻ファイターへの武装化をして、妖刀ホエマルを構えて突進をする!同時に、黄鬼がナックルダスターを装備した拳を握り締め、瞬く間に懐に飛び込んできた!


「はやいっ!」


 慌てて一歩後退をしながら、妖刀を盾にして防御!黄鬼の拳を刀身で受け止めるが、勢いに押されて数歩後退をさせられる!

 羽里野山の星熊童子や正門にいた虎熊童子と同レベルの強さを感じる。コイツも「四天王」ってヤツなのだろうか?

 瞬発力は‘正門にいた虎熊童子’よりも速そうだが、攻撃手段が徒手空拳なので、直撃を喰らう距離まで迫られる前に対処できた。事前に、虎熊童子と交戦したお陰で‘素早さ’を警戒して対応できたのだ。


「接近戦は不利。

 狗塚みたく、飛び道具を使って寄せ付けないように戦うべきだな。」


 妖刀を放棄して、弓銃カサガケを召喚して連射モードにして構え、黄鬼を狙い撃つ!黄鬼は素早いフットワークで光弾を回避しながら瞬く間に間合いを詰めて、拳の連打を放った!俺(妖幻ファイター)は一歩引いて直撃を避け、腰に納刀されている裁笏ヤマを抜刀して牽制!黄鬼の足を止め、至近距離で弓銃から光弾を発砲!だが、黄鬼はアクロバットな動きで、素早く距離を空けて回避をする!


「ちぃっ・・・すばしっこい!」


 黄鬼は、一度、塔屋の上まで戻ってから、再び光弾を回避しながら突進してきた!一歩退いて黄鬼の射程圏から離れ、裁笏と銃撃で牽制すると、再び回避をしながら遠ざかり、跳躍で塔屋上に着地をする!


「何だよオマエ!逃げてばっかで面白くねーぞ、へっぽこ!

 派手に戦おうぜっ!」

「俺は戦闘狂じゃないからな!戦いを楽しむつもりは無い!」


 黄鬼の解りやすい挑発を受け流す。だが、防衛戦や時間稼ぎをしたいわけではない。塔屋上の‘生命力吸収の呪印’を無効化して、優麗高生達の危機を救わなければならないのだ。


「ああ、そうかい?だったら、オイラだけ楽しませてもらうよ!

 オマエを蹂躙にしてな!」


 気勢を発して接近をしてくる黄鬼!弓銃を発砲して牽制をするが、黄鬼は放たれた光弾を回避して瞬間移動のごとく飛び込んできて、拳の連打を放った!


「・・・くっ!!」


 黄鬼の拳は、体ではなく左手に炸裂!握られていた弓銃が叩き落とされてしまう!


「にゃははっ!これでオイラを遠ざけることはできなくなったな!」


 右手に装備した裁笏を振るって牽制をするが、左腕で受け止められてしまう!容赦無く更なる一歩を踏み込む黄鬼!ガラ空きになった体に、ナックルダスターを装備した右拳の連打が叩き込まれた!弾き飛ばされて床を転がる!


「燕真っ!」

「オマエはそこにいろっ!大丈夫だから慌てるなっ!」


 紅葉が俺の名を叫んで塔屋から飛び出そうとしたので、手を翳して制する!防御に徹したところで、やはり‘1人’では、格上の鬼幹部には対応ができない!黄鬼が追い撃ちを掛ける為に踏み込んでくる!


「だが、俺1人・・・ではない!」


 大きく後退をして間合いを確保しながら、Yウォッチから『朧』メダルを抜き取って空きスロットに装填!


「来い、おぼろっ!!」

「なにぃっ!?」


 踏み込んできた黄鬼の10mほど後に時空の歪みが出現!マシンOBOROが飛び出してきて、黄鬼に体当たりをする!想定外の方向から攻撃を受けた黄鬼は、弾き飛ばされ床を転がった!


「俺は、尻込みして防御に徹していたわけじゃない!」


 自走してきたマシンOBOROに跨がり、倒れている黄鬼を無視して塔屋に向かって突っ走る!


「呪印が手薄になるタイミングを待っていたんだ!」


 先程までの黄鬼は、常に塔屋上の呪印から一定以上は離れずに戦っていた。しかし、焦らされて攻撃に躍起になったことで、俺に踏み込みすぎて呪印を無防備にしてくれた!

 マシンOBOROをジャンプさせて塔屋上に着地をして、呪印を確認したら、『酒』の文字が記された3枚のメダルが浮かんでいた。


「あれ?このメダルって?」


 以前、紅葉が「天野さんからもらった」と言って見せてくれたメダルと同じ?手を伸ばして『酒』メダル1枚を手に取って眺める。

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