6-5・二口女
-30分後-
‘鬼の印’を5つ潰して、6つ目の捜索中。
ピーピーピー!!!
Yウォッチが警報音を鳴らしたので、バイクを路肩に寄せて応答をする。文架大橋の東詰で妖怪が暴れているらしい。
「了解!今から向かう!」
「ぃそげぇ~~~!」
「もしや、鬼が!?」
俺達は‘鬼の印’探しを中断して、爺さんが指定をした場所に向かう。
-数分後・文架大橋東詰-
到着をすると、人々が逃げ惑い、その中心で2体の妖怪が暴れていた!2体とも二口女だ!
「2体?両方子妖で、本体は別の場所か?」
「2体とも本体だ。個体数が1体に限られるのは、上級クラスの妖怪のみ。
下級や中級クラスは、複数の同一個体が存在をする。
不特定多数の念が渦巻く場所に‘鬼の印’のような悪質な起点が置かれた場合、
複数の念が同時に引っ掛かって、下級妖怪が数匹同時に育つこともある。
そんなことも知らないのか?」
「へぇ・・・知らんかった。」
「ザコゎたくさん居るってことなんだね?」
「全部倒せば問題無いってことだろ!・・・紅葉、オマエはここに居ろ!」
「ぅんっ!」
俺は、妖幻ファイターへの武装化をして、妖刀ホエマルを握り、二口女目掛けて突進する!二口女Aが、髪の毛を蜘蛛の巣のように張って突進を妨害!苦もなく髪の毛を振り払うが、背後から二口女Bが伸ばした髪の毛に右腕を絡め取られてしまう!
「チィィ!連携かよ!」
想定外の二口女C(3体目)まで出現して、伸びてきた髪が首に巻き付く!
「ゲッ!3体目!?マジか!?」
更に、二口女Aの髪の毛が足を絡め取る!妖刀を握った右腕に髪の毛を巻き付けられている為、思うように剣を振るえない!四苦八苦していると、二口女の髪は容赦なく左手や胴体に巻き付き、全身の自由を奪う!
「たかが髪の毛を絡めたくらいで、いい気になるな!!」
妖刀を放棄して、力任せに右手を左腕に寄せて、Yウォッチから『炎』を書かれたメダルを抜き取って、Yウォッチの空きスロットに装填!両手甲と脛当てから炎を発して、全身に絡み付いた髪の毛を焼き切った!
「さて・・・反撃開始だ!。」
三方向から絡み付いてくる髪を炎の手刀で焼き払い、二口女Aに突進!懐に飛び込んで炎の拳を叩き込んだ!二口女Aは一定のダメージを受けて弾き飛ばされるが、直ぐに立ち上がる!
「この程度で倒せないのは想定内だ!」
二口女Aの間合いに踏み込みながら裁笏ヤマを装備して、Yウォッチのスロットに填められていた『炎』メダルを裁笏の窪みに装填!裁笏ヤマから炎が発せられる!
「おぉぉぉっっっっっっっっっ!!!」
炎を放つ裁笏で二口女Aを薙ぎ払う!胴体から上下に両断されて転がる二口女A!
「封印は後回しだ!先に、他の2体を戦闘不能にする!」
斬っただけでは妖怪は倒せない!白メダルの効果を発揮させた攻撃で封印しなければ、妖怪は復活をしてしまう!だが、大ダメージを受けた二口女Aは、簡単には戦線復帰はできない!
体の向きを変え、二口女Bに向かって突進!二口女BとCは逃げていく!
「燕真っ!」
「オマエはここで待ってろ!」
紅葉に待機指示を出してから二口女を追う!堤防上で追い付き、絡み付いてきた髪を、炎を発する裁笏で焼き払い、二口女Bを切り伏せた!それを見た二口女Cは、振り返って再び逃走をする!
「げっ!わぁっ!!こっち来た!!」
逃走経路の先には、指示を無視して追って来た紅葉の姿がある!慌てて振り返って逃げようとする紅葉!二口女Cは、突然転がり込んできた美味そうな餌に飛び掛かった!
「あの・・・バカ!」
俺(妖幻ファイター)は、走りながらYウォッチに『鵺』メダルをセットして、弓銃カサガケを召喚!小弓モードで二口女Cの背中に光弾を当てて弾き飛ばした!
「横に飛べ、紅葉!」
言われた通りに横っ飛びで逃げる紅葉!二口女Cの同一線上から紅葉が逸れたので、弓銃を強弩モードに切り替え、予め準備をしておいた白メダルをセットして、必殺の一撃を狙い撃った!二口女Cは、紅葉の目の前で爆発四散!散った闇が弓銃カサガケに集まって、メダルに『二』の文字が浮かび上がる!
「・・・ったく、毎回毎回、邪魔ばかりしやがって!」
「ごめぇ~~ん・・・燕真。」
「頼むから、もう少し温和しくしててくれ!!」
「は~~~~~~ぃ。」
紅葉の尻ぬぐいをするのは今回が初めてではない。その度に紅葉を叱るのだが、紅葉は学習能力が低いらしく、しばらくすると、また同じことをする。
「でも良かったぁ~~~!
ァィッが言うみたぃに、燕真ゎァタシのこと邪魔だと思ってぃなぃもんね!」
「オマエ・・・耳あるか?たった今『邪魔をするな』といったつもりだが!」
「ぅん、聞こえたょ!ぃつもぁりがと!」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
叱り飛ばしながら、紅葉が邪魔なのは「いつものこと」を受け入れていた。この状況に慣れつつある適応力を、我ながら呆れてしまう。
「いつも、ありがとねぇ!」
「・・・ど~いたしまして。」
屈託のない笑顔で、改めて礼を言う紅葉に対して、少し照れてそっぽを向いた。そこでようやく、狗塚の姿が無いことに気付く。
「あれ?アイツ、どこに行った?」
「知~らないっ!燕真を見捨てて1人でどっか行っちゃった。
やっぱり、燕真ゎ、アイツとゎ全然違うねっ!」
「どうせ、アイツと違って、弱い妖怪相手に苦戦しているとでも言いたいんだろ?」
「ヒミツっ!燕真ゎ、ァタシのこと置いていかないもんね。」
「なんだそりゃ?よく解らんが、置いていくに決まってんだろう。」
「んへへっ!燕真ゎ絶対に置いていかない。」
その後、二口女AとBも白メダルに封印をして、武装化を解除。『二』の文字が浮かぶ3枚のメダルを眺める。
「同じメダルばっか、こんなに集めて意味あんのかな?
ジジイから‘要らない’と言われて、報酬を差っ引かれそうで怖い・・・。」
「燕真っ!」
「・・・ん?」
呼ばれて振り向いたら、いつの間にか、紅葉はホンダ・VFR1200Fのタンデムに跨がっており、「帰ろう」と催促をしている。
「サッサと行くよ!」
「一息くらい、つかせろよ。」
「もう、1回以上息したぢゃん!行こっ!」
「『一休みさせろ』って意味で言ったんだよ!」
紅葉の‘せっかち’ぶりに呆れつつ、バイクに駆けていく。




