表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/169

5-6・天邪鬼暴走

-翌日・YOUKAIミュージアム-


ピーピーピー!!!

 事務室に備え付けられていた警報機が、妖怪の出現を知らせる緊急発信音を鳴らした!爺さんが情報を確認して、俺と紅葉は出動準備を整える!


「・・・この妖気反応は!!」


 そこまで口にした爺さんは、言葉を詰まらせる。


「なんちゅうこっちゃ!」

「ん?どうしたんだ?妖怪が出現したんだろ?」

「・・・・えぇか、燕真、良く聞きや!暴れとるんは、天邪鬼や!

 直ぐに現場に行って、退治をしてこい!!」

「・・・・・・え?天邪鬼って、まさか!?」

「天野のお爺ちゃん?」

「ワシも後から行くさかい、サッサと行け!!」

「・・・う、うん」


 打ち明けられた事実を納得できない。しかし、悩んでいる時ではない。自分の眼で確かめて、その先のことはそれから考える。俺と紅葉は、ホンダVFR1200Fに飛び乗り、現場に急行をした。


「誤報であってくれ!」


 脳裏に、数ヶ月前の苦い思い出が甦る。圧倒的な攻撃力を誇る鵺に対して、手も足も出ず、解り合いかけていた依り代の霊体を切るしかなかった。もう2度と、そんな思いはしたくない。しかし、また、同じことになるのか?今度は爺さんの友人を切らなければならないのか?討伐をせず、円満に解決する方法はあるのか?懸命に悩むが、答えは出ない。




-羽里野山の麓-


 路線バスが転倒して炎を上げながら道路を塞いでおり、数台の乗用車が足止めをされていた。逃げ惑う一般人達に紛れて、正気を失った数人が暴れ回っている。


「燕真!ぁの人達、子妖に憑かれてる!」

「オマエは、ここにいろ!」

「ぅんっ!」


 バイクを止め、紅葉を残して駆け出し、左手のYウォッチから『閻』メダルを抜いて和船バックルに装填!


「幻装っ!!」


 全身が輝いて、妖幻ファイターへの武装完了!

 妖怪センサーを介して正気を失った人々を見ると、頭に小さな角が生えている。鬼族の子妖=餓鬼だ!

 センサーは引き続き周囲に充満する妖気を追い続け、バスから上がる炎の中に、妖怪の本体=天邪鬼を発見する!一方の天邪鬼も、俺(妖幻ファイター)の存在に気付き、炎を掻き分けて近付いてきた!


「天野さん・・・そんなところで、何をやってんだよ!!」

「ガォォォォォォッッ!!やっちまえ!!」


 天邪鬼の命令を受けた餓鬼達が、一斉に押し寄せてきた!裁笏(木製ナイフ)を装備して餓鬼達に打ち込む!子妖を祓われた人々は、穏やかな表情を取り戻して、次々とその場に倒れた!


「ガォォォォォォッッ!!」


 天邪鬼が怪力で乗用車を持ち上げ、俺(妖幻ファイター)に向かって放り投げる!


「チィィ!!」


 回避は容易だが、回避をすれば、祓われて倒れている一般人が自動車に潰されてしまう!


「ハァァァッ!!」


 勢い良く跳び上がり、飛んでくる自動車に蹴りを叩き込み、人がいない場所目掛けて叩き落とす!その隙を突いて、飛び上がった天邪鬼が、頭上から襲い掛かってきた!だが、天邪鬼の行動を読んでいたので、車を蹴り落とす際の反動を利用して更に高く跳び上がって応戦する!裁笏の切っ先が、天邪鬼の表皮を掠めた!


「目を覚ませよ・・・天野さん!」


 着地と同時に妖刀ホエマルを装備して、天邪鬼との間合いをはかる。それほど強敵とは思えない。恐らく、力業一辺倒の類だろう。本気で戦えば、容易に倒せるように感じられる。


「だけど・・・戦って良いのか?元に戻す方法は無いのか?」


 天野老人は、自分が鬼と自覚しながら、人間社会で穏やかな生活を送っていた。鬼に乗っ取られたのではなく、今も昔も鬼のままだ。では、どうしてこんな事になっているのか?原因は何なのか?なにが、天野老人を急変させた?


「燕真っ!!容赦なくやっつけちゃえ!!」

「・・・え!?」


 此の期に及んで、紅葉の方が腹を括っている?紅葉からは「戦っちゃダメ」と言われると思っていた。


「多分・・・封印さぇしなければ、大丈夫だから!」

「・・・とりあえず、弱らせるってことか?」


 紅葉の思惑は解らない。しかし、何の打開策も無いまま眺めているわけにもいかない。「妖気を祓い続けて徹底的に弱らせる」なんて、極めて面倒臭い戦い方だし、結論の先送りとも取れるが、何もできないよりはマシだ。


「被害が出ないようにして時間を稼いでいれば、

 粉木の爺さんが到着して名案を思い付いてくれるはずだ。」


 妖刀を構えて突進する!天邪鬼が太い腕から繰り出す大振りの一撃を横に回避!同時に脇腹目掛けて妖刀を振り切り、返す刀で背中への一撃を叩き込んだ!


「ガァゥゥゥゥゥッッッッ・・・ぅぅぅわぁぁっ!!」


 妖怪の咆吼に混ざって、人間の悲鳴が聞こえた!戸惑い、追い打ちのタイミングが逸れてしまい、慌てて間合いを空ける!


「くそっ!やりにくい相手だ!」

「燕真!!ぉなかだよ!!」

「え!?・・・・腹!?」

「そうっ!おなかっ!おなかに濃いモヤモヤがあるでしょ?」


 センサーの照準を集中させると、闇の塊が天邪鬼の腹に取り憑いているのが見える。


「ああ・・・あるなっ!」

「それが、天野のお爺ちゃんを凶暴にしてんのっ!」

「オマエ、素の状態で、良くこんなモンが感知できたな?」

「ぉ腹だけを攻撃してっ!!」


 必殺の一撃(封印メダル)は禁止で、腹しか攻撃できないのは、凄まじいハンデだ。しかも、そんな大声で「腹だけ」などと言ったら、余程のバカでもない限り、腹だけは狙われないように気を付けるだろう。


「アホッ!こっちの作戦を晒してどうすんだよ?」


 右手で妖刀を、左手で裁笏を構え、やや前傾姿勢で突進をする!振り下ろした妖刀を、天邪鬼は素手で払って受け流す!続けて、天邪鬼の腹目掛けて裁笏を振るう!しかし、天邪鬼は腰を引いて回避!切っ先が僅かに掠っただけ!案の定、天邪鬼は、腹への攻撃を警戒している!


「もう1人、妖幻ファイターが居てくれれば、

 抑え付けてもらって、腹だけを叩くことができるんだがな。

 そんな都合の良い展開に成るわけないか。」


 天邪鬼の腹を無防備にするには、どう戦うべきか?構えながら思案をする。

 ・・・次の瞬間!


「鬼は・・・皆殺しだ!!」


ガォンガォンガォンガォンガォンッ!

 獣の咆吼のような銃声が鳴り響き、頭上から、天邪鬼目掛けて幾つもの光弾が降り注いだ!


「・・・なっ!!?」


 見上げたら、翼を展開した黄色い妖幻ファイター=狗塚雅仁が、上空でハンドガン=鳥銃・迦楼羅焔カルラほむらを構えていた!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ