4-10・温羅鬼討伐
「任せたぞ!」
「おうっ!」
突進してくる温羅鬼を引き付けつつ、Yウォッチから『鵺』メダルを抜いて空きスロットに装填する!目の前に光の渦が発せられて弓銃カサガケが出現!グリップを握って、連写モードで光弾を放った!
温羅鬼は、数発を喰らって突進速度を弱めながらも、お構い無しに突っ込んできて、金棒を振り廻す!後退で回避をしながら、木々が密集した場所に誘い込んだら、温羅鬼が何度も空振りをしたうちの一撃が大木に炸裂して薙ぎ倒した!温羅鬼の視界が、自ら倒した大木によって一瞬だけ塞がれる!俺は、その隙を見逃さずに、弓銃を一撃必殺モードに切り替えて、引き金を引いた!
「そのパワー、そのタフさ、流石だな!!・・・だが、それだけだ!!
単身なら、倒せない敵ではないっ!」
ゼロ距離発射をした光弾が、温羅鬼に炸裂!一定の手応えはあるが、巨漢を弾き飛ばすには至らない!
「ならばっ!」
素早く懐に飛び込み、腹に右ストレートを叩き込み、蹲って下がった顔面に蹴りを入れ、仰け反って開いた腹に2発目の蹴りを放つ!温羅鬼は堪えきれずに5~6歩後退をして尻餅をついた!
「閻魔様の裁きの時間だっ!」
Yウォッチから空白メダルを抜き取って、右足ブーツのくるぶし部分にある窪みに装填!周辺に炎の絨毯が発生する!
「これは地獄の炎!?オマエは一体!?」
「上司の名前くらい知ってんだろ!?鬼なら鬼らしく、閻魔様の下でコキ使われてろ!!」
慌てて背を向けて逃走をする温羅鬼!その背を追って飛び上がり、空中で一回転をして右足を突き出した!
「うおぉっ!!! エクソシズムキィィーーーッック!!!」
朱く発光した右足が温羅鬼の背中に突き刺さって、そのまま貫通をする!
「ガォォォォォォォォォン!!!」
温羅鬼は大声で嘶いたあと、俯せに倒れて黒い炎を上げて爆発四散!撒き散らされた黒い霧は、ブーツにセットされたメダルに吸い込まれて消えた!メダルを確認すると、表に『温』、裏に『鬼』の文字が浮かび上がっている!
「へぇ・・・裏表に文字が浮かぶんだ?鬼は特別扱いなのか?
なら、もう1匹の白い奴(星熊童子)も・・・。」
先程の危機は、星熊童子に圧倒された為だ。
「アイツ(黄色い妖幻ファイター)だけじゃ、苦戦を強いられる。
助けられた借りを返さなきゃ!」
援護に向かおうとしたら、獣の咆吼のような銃声が轟き、弾き飛ばされた星熊童子が地面を転がる!
黄色い妖幻ファイターは、鳥銃の銃身後方を展開させて、空白メダルを装填!照準を星熊童子に向けた!
「ギガショットッ!!」
鳥銃・迦楼羅焔の中央にある嘴が開き、風のエネルギーが凝縮されて白く輝いた空白メダルが発射され、星熊童子の腹を貫通した!!
「グウォォォォォォォォォン!!!」
星熊童子は、断末魔の悲鳴を上げ、全身の力を失って地面に両膝を落とし、黒い炎を上げて爆発四散!撒き散らされた黒い霧は、メダルに吸い込まれて完全に消る!
「アイツ・・・メッチャ強いじゃん。
白い奴(星熊童子)をワンサイドで倒しやがった。」
離れて見守っていた紅葉が寄ってきた。
「燕真っ!ギラギラしたのとザヮザヮしたの無くなったよっ!」
「ギラギラとザワザワ?鬼共が張っていた結界のことか?」
「ぅんっ!結界っ!」
「黄色い奴が助けてくれなかったら危なかったな。」
「お礼言わなきゃっ!」
インテリ系イケメンを探すが、その姿は何処にも無かった。この場所での仕事を終えた為に、早々に立ち去ったようだ。
「小学校1年生が描いたディーン・フジ○カみたいなみたぃな顔してたね。」
「『小学校1年生が描いた』ってどういう意味だ?
・・・まぁ、悔しいけどイケメンだったのは認めるけどさ。」
「イケメンだけど、トゲトゲしてて、あんまり好きくない感じ。
でも、燕真だって、イケメンのお魚さんみたいで格好良いよ!」
「・・・さかな?」
イケメンの魚と小学校1年生が描いたディーン・フジ○カのどっちが格好良いのか、よく解らない。
彼の件を含めて疑問は幾つかあるが、任務は無事に完了。これで、氷柱女を羽里野山に寄せ付けない原因は排除された。
「ぉ~~~~ぃっ!つらら女~~~~~~~っ!!!」
紅葉が周囲を見回し、大声で氷柱女の名を呼ぶ。
「いるのか?」
「ぅん、姿は見えなぃけど、気配ゎ感じるょ。邪魔者が居なくなったから、ぉ山に戻ったんだねぇ。
でも、なんで、姿を見せてくれなぃんだろ?」
「無愛想な奴だからな。でも、居るって解るなら、それで充分だろ?」
「そっか・・・そぅだね!」
〈オマエ等の行く末、見届けさせてもらう。〉
「ん?」 「氷柱女の声?」
直後に、頭に氷の塊が振ってきた。
「イッテェ!!」
「おぉっ!氷柱女のお礼だねっ!」
「人の頭に氷を落として、何処がどうお礼なんだよ!?」
上を見上げるが、氷柱女の姿は無い。紅葉は、山頂を見廻し、大きく息を吸い込んだ。
「つらら女~~っ!!また、遊びに来てねぇ~~~~~~~~~っっ!!!」
何処に居るか解らない氷柱女に対して、山頂全体に響き渡るほど大声で叫ぶ。
これで事件は終わりだと思っていた。だが、違った。鬼が文架の地に入り込んできたこと。それが、今までとは比較にならない大きな事件の幕開けと言うことを、この時の俺は、まだ知らない。
※『妖幻ファイターザムシード』の第9話&第10話&第11話を簡素化。




