4-3・白い竜巻
-YOUKAIミュージアム-
俺の足なら10分もかからずに到着するのだが、慣れない雪道の所為&紅葉に合わせて歩いたので、倍以上の時間を要してしまった。
「おいおい、どうなってんだ?」
周辺ではしんしんと雪が降っているのに、YOUKAIミュージアム周りだけは白い雪煙に包まれ、積もった雪を舞上げ、降りしきる雪と相まって、吹雪を作り出している。
「ひやぁぁぁ・・・」
「行ってみようっ!」
「待って、燕真っ!白い壁の中から妖気感じるよっ!」
「白い壁?」
吹雪は見えるが「白い壁」には見えない。
「妖術の類いだから霊感の無い俺には見えていないってことか?」
左手のYウォッチから『閻』メダルを抜き取って和船バックルに嵌めこむ!
「幻装っ!!」
体が光に包まれ、妖幻ファイターへの武装完了!途端に、目の前の一角に白い壁が出現して、奥に建っていたYOUKAIミュージアムが見えなくなった。
「妖怪が作った吹雪ってことだな。ジジイは無事なのか?」
白い壁の中に突っ込んだ。しかし、YOUKAIミュージアムの敷地内に踏み込んだ途端に、暴風が吹き荒れ、俺達を拒んで押し戻す。
「うわっ!」 「きゃっ!」
押し寄せてくる強風に煽られ、紅葉が2~3歩後退をして、舞い上がったスカートを羞恥全開で抑える。
「オマエはココにいろ!」
「でも!!」
「渦中でスカートを抑えて蹲られていても、邪魔なだけだ!!」
「燕真のパンツ(ズボン)を脱いで貸して!どうせ変身してるんだから、無くてもィィでしょ!?」
「良いワケ無いだろ!」
紅葉を待機させ、単身で白い渦の壁に向かって突っ込む!
「うぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっ!!!」
1m先も見えないような、猛吹雪の中を突っ走る!侵入を拒む白い壁を抜け、ようやく視界が開け、周りが明るくなった!
「何処にいる妖怪っ!!」
「燕真!!?なんでぇ!!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え!!?」
抜けた先にいたのは紅葉。到達をしたのは出発地点。振り返り、YOUKAIミュージアムの方向を見つめる。相変わらず、白い壁に覆われたままになっている。
「一体どうなってんだ!?吹雪で方向感覚を狂わされたのか?」
「もうっ!ちゃんとしてよ、燕真っ!
今度ゎァタシが行ってみるっ!」
「お、おい!!無茶をすんな!!」
制止を聞かずに紅葉が白い壁の中に突っ込んでいく。任せっぱなしにはできないので、俺も直ぐあとから続く!先ほどと同様に、1m先も見えないような、猛吹雪を掻き分けて突き進むと、ホワイトアウトを抜けて視界が開いた!
「紅葉っ!!」
だが到達をしたのは、またもや出発地点だった。先程までと変わらない風景が目に映る。・・・しかし、たった1つ、先ほどと違う光景があった。
「・・・紅葉?何処に行った?」
少し先を走っていたはずの、紅葉の姿が何処にも無い。僅か1~2秒程度のホワイトアウト寸前までは後ろ姿を確認していたはずなのに・・・。
「アイツ・・・まだ、竜巻の中にいるのか?」
紅葉と合流をする為に、再び竜巻の中に突入!しかし、再び外側に吐き出されてしまう!
「クッソォ!!・・・あのバカ、毎回毎回、勝手なことばかりしやがって!!」
普段ならば爺さんに指示を仰ぐが、肝心の爺さんも竜巻の内側にいるのだから、どうすることも出来ない。
武装化をする前は白い壁が見えなかった。白い壁が妖力によって創造されているのは間違いない。ならば、妖気の干渉を全く受けない状態ならば、白い壁を抜けられるのではないか?絡新婦の領域に気付かず、霊体を見ることができず、妖気の感知が全く出来ない状態ならば、妖力の竜巻も干渉しないのではないか?
「迷ってる暇は無い!・・・やるっきゃない!」
和船バックルから『閻』メダルを引き抜いて武装化を解除。雪を含んだ竜巻がYOUKAIミュージアムを覆っているが、先程のような白い壁は見えない。
「行けるかっ!」
前傾姿勢になって吹き荒れる竜巻の中に突入!横殴りの雪が全身に打ち付け、突進速度を弱める!腕を翳して、顔にかかる吹雪を防ぎ、足を踏ん張らせながら進む!
「紅葉っ!爺さんっ!」
今度は、ホワイトアウトやフリダシへ戻されることもなく、猛吹雪を抜けた!
中心部はほぼ無風。店の前に、紅葉と防寒着を着た粉木の爺さんが突っ立っていたので合流する。
「随分苦労したが、やっと入ってこられた!」
「霊感ゼロで妖力が干渉せえへんから、妖気の結界も無視かい。
無能っちゅうのも、ある意味、チートやの。」
2人とも無事なので安堵をした・・・というか、思ってたのと違って、爺さんからは緊張感の類いを感じられない。
「・・・ん?・・・あれ?」
「同伴出勤とは、良いご身分やのう。」
「ドーハンシュッキン?」
「ちげーよ!朝っぱらから、テンションの上がった紅葉が押し掛けてきたんだよ!」
「燕真と一緒に雪ダルマ作って遊んでたのっ!」
「やっぱり、同伴出勤やないけ。」
「俺は、いつから、この店の客になったんだ?
・・・て、そんなことより、心配したんだぞ!
店が妖怪に占拠されたんじゃなかったのか?」
「そないもん、オマンを此処に呼ぶ為のデマや。」
「デマ?だけど、店が白い竜巻に・・・」
「話の続きは中に入ってからや。」
爺さんは、回答を後回しにして扉を開けて店内に入った。俺達は、頭と肩に積もった雪を払って入店をする。




