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3-11・ユータのメダルと喫茶YOUKAIミュージアム

-一週間後・本陣アパート-


 昨日の夜に東京から戻ってきたので、久しぶりのYOUKAIミュージアム出勤だ。東京出張の理由は、本社に行って、俺用の新規メダルを製造してもらう為。

 本来ならば、妖怪を封じ込めたメダルは、上司経由で本社に送られて、相応の臨時賞与に代わる。『絡』や『鎌』のメダルが、その後、どの地域の退治屋に支給されたのかは解らない。だが、『鵺』メダルだけは、賞与など要らないので手元に置きたかった。この件に関しては、爺さんが苦労をして根回しをして、俺の要望を叶えてくれたらしい。

 基本的に妖幻システムは共通仕様なので、普通なら新規メダルの製造に使用者が呼ばれることは無い。だが、閻魔大王の力を与えられた俺の妖幻システムは特殊仕様で、且つ、俺の才能が特別(霊感ゼロ)なので、俺に適合させる為に、俺も本社の開発部に呼ばれたのだ。


 『鵺』メダルは、新たなる武器・弓銃カサガケに生まれ変わった。ユータが宿っているわけではない事は理解をしている。だが、『鵺』メダルが手元にあることで、共に居た時間が無駄ではなかったと思える。


「ユータ・・・オマエが倒した妖怪のメダルだからな!」


 しばらく『鵺』メダルを眺めてからYウォッチに収納。ヘルメットを被り、YOUKAIミュージアムに向かって愛車を走らせた。




-粉木邸-


 朝食を得る為に玄関扉を開けようとするが、鍵が掛かっていて開けられない。


「留守?それとも、もう博物館に行ってる?

 もしかして、今日から俺が出勤すんの忘れてんのか?」


 YOUKAIミュージアム正面に廻り込んでみると、既に出入り口のシャッターは開かれている。

 扉を開けて館内に入り、奥のカウンター内に立っている爺さんに挨拶をして、幾つも並んでいるテーブルと椅子の中から一番近くの椅子に座る。すると、メイド姿の紅葉が笑顔で寄って来た。朝っぱらからコスプレって・・・以前から解っていた事だが、相変わらずメデタイ思考の持ち主だ。


「チィ~~~ス!燕真!!飲み物ゎトマトジュースで良ぃょねぇ!?

「おう、サンキュー!」

「ぉ店のメインメニューにしたくて、ピザトースト作ったけど、初挑戦だったから失敗しちゃったみたぃ!

 味見してみてょ!」

「お嬢が一生懸命に作ってくれたんや、有り難く頂戴せい」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 久しぶりに出勤した俺を待ち受けてたのは、とんでもない失敗作のピザトーストだった。盛り過ぎたチーズが流れ、ベーコンはカリカリを通り越して炭と化してる。そして目玉焼きの黄身がガッツリ焼けちゃってる。これは確実に分量ミス&調理時間のミスだろう。

 しかし、せっかく作ってくれたのに拒否をするのは悪いので、大人の対応で「サンキュー」と礼を言い、少し躊躇ってからピザトーストを食べる。見た目と比べて、全体的な具のチョイスは悪くない。チーズの分量と焼き時間が何とかなれば、そこそこのクオリティーにはなりそうだ。


「どぅかな、燕真?ぉ店で出しても良ぃかな?」

「もう少し改良すればな!」


 紅葉作のピザトーストを半分ほど食べたところで、トマトジュースに口を付ける。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 ちょっと待って欲しい。改めて考えると、何かがオカシイ。周囲を見回して、今置かれている状況を確かめる。

 目の前には、ウェイトレス姿の紅葉が居て、奧のカウンターにはウェイター姿の爺さんが立っている。


「・・・ぶっ!」


 口に入れたばかりのトマトジュースを吹き出して咳き込んでしまう。


「うわぁ!血ぃはぃた!!きったねぇ!!燕真、死ぬの!?」

「ゲホォッ!ゲゲホォッ!ゴホォッ!・・・血じゃねぇ・・・ゲゲホォッ!ゴホォッ!」


 ここは何処だ?客が寄りつかない博物館じゃなかったっけ?慌てて屋外に飛び出して、看板を確認すると、『喫茶・YOUKAIミュージアム』と書いてあった。


「・・・・・・・・・・・・・・・・はぁぁぁっっ!!!?」


 再び扉を開けて店内に入り、よ~~く見廻すと、テーブルと椅子が幾つも並んでおり、メイド姿の紅葉が笑顔で立っていて、カウンターテーブルの奧にはウェイター姿の爺さんが居て、カウンター上ではコーヒーメーカーが湯気を立てている。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ・・・・あの?」

「お嬢の提案でな、修繕を期に、装いを大幅に変える事にしたんや!」

「壊れちゃったドアを修理するついでに、内装もかわいくしたんだよ!」

「変えすぎだろう!!!どこが『ついで』だよっ!?

 従業員が1週間ぶりに出社してみたら、

 会社の趣旨が根底から変わっているって、どんな状況なんだ!!?」

「喫茶店は1階だけ、2階はこれまで通りの博物館や!」

「気にしなぃ気にしなぃ!さぁ、燕真も、朝ご飯済ませたら、着替ぇて、ぉ店のぉ仕事手伝ってょ!」


 1週間前まで潰れかけた博物館の係員だった俺は、今日からは茶店のウェイターらしい。


「気にするなってのが無理な話だ!!

 あ~~~~~~~~~~~~~~もうっ!!勘弁してくれよぉ~~~~~~~~~~~~~~!!!」


 店内に俺の絶叫が虚しく響き渡る。




※『妖幻ファイターザムシード』の第5話&第6話を簡素化。


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