令嬢レベル3-71
それは私が彼女を庇護していると公言するものだったけれど。
彼女は王子様が聞き入れてくれた!とばかりに嬉しそうな顔をして私のあげた髪飾りをあっさりとアレン様に渡した。
アレン様は今後も暴走するであろう彼女を私から切り離したかったのだろう。
守ってくれたとわかっているのに…あっさりと手放された髪飾りに胸が痛む。
それなりにはドロシーを大切にしていたのだけれどね。
けれど、髪飾りは今やアレン様の手に渡った。
人から貰ったものをこうもあっさり他者に渡すような者を傍においては置けない。
「ドロシー、下がっていいわ。それから短い間だったけれどもう私の侍女は良いわ。今までありがとう」
「え、あ、はい。かしこまりました」
薬を塗り込んで包帯を巻き終わったララは私たちの意図を察したのかそのままドロシーを部屋の外へと追い出した。
まだパーティは始まったばかりだと言うのにとても疲れた。疲れ果てて、アレン様に寄りかかってしまうほどに。
「…カレディは頑張ってあの子を守っていたよ」
「…ただの罪滅ぼしでしてよ」
ダレスにした事を
ダレスの代わりに怒ってきたから
ダレスの代わりに贖罪をしたに過ぎない。
ふうと息をついてアレン様から離れてしゃんと背筋を伸ばす。
「ララ、手袋を」
「どうぞ」
さすがララ、既に準備してらしたのね。
手首の包帯を隠せる長いシルクの手袋を着けて、立ち上がる。
「さあ、戻りましょうか私の婚約者様?」
私はまだ社交をしていない。
ディティリスの一人娘として
アレン様の婚約者としてそんな体たらくではいけないのだ。
にっこりと笑ってそう言うと、アレン様は一つだけ溜息を吐いてから麗しい王子の笑みを浮かべた。
「ああ。でもダンスはしないようにね、愛する婚約者殿」
そう言うとアレン様は髪飾りをポケットにしまって立ち上がり私に手を差し出した。
婚活が居なくて
怪我もしたけれど
ーーアレン様と一緒ならば、やっぱり何も怖くないのよね。
内心でその理由を考えたけれど、何となく考える必要も無いと感じたから。
私は笑顔でアレン様の手を取った。
ここにて一旦更新停止とさせて頂きます。また再開をお待ちください。




