令嬢レベル3-70
「あら、私の侍女でしてよ?」
「だとしても、私はカレディに傷をつけたものを傍に寄せたくない」
アレン様がこんな事を仰るなんて、過保護で珍しいわね。ララに手首を冷やされながらそう思ったけれど。
「…あの子はどうなりますか」
この場で一番尊いアレン様の許可もなく、突然話しかけ始めたドロシーに目眩がした。ああ、彼女また正義感が暴走してらっしゃるのね…。
私の言ったことを理解して下さったのに。
ちゃんとしていれば礼儀作法もしっかりしてらしたのに。
………とても残念だ。
「……私は国の頂点となるべく磨かれている存在だ。それだけの大金が投じられているし、なるべく努力も怠っていない。いわば最高級の宝石だ」
「……はい?」
「カレディもまた同じように私の隣に立つべく最高級の管理と教育を受けた私の珠玉だ。他人の最高級の宝石に傷をつけたら、どうなると君は思うかね」
パーティの少女だけで済んだものを。正義感を暴走させて、ドロシーは薮をつついてドラゴンを怒らせてしまった。
「でも、あの子はまだ幼い少女で…」
「子供ならば、他者の宝石に傷をつけても許されると言うのか?国一番の宝石に、だぞ」
さすがにそう例えられると人情論を押し切れないのかドロシーは黙りこくった。
けれど、黙ったから許される話ではもう無い。
アレン様が指でドロシーの後ろにいるアルフォンソに指示を出すとアルフォンソはドロシーの腰に手を当てて促しながら共に入室して…私たちの前までやってきた。
「そもそもお前は何だ?名乗りもせず、突然話しかけてきて。犯罪者をどうするかなどとお前には関係ないだろう」
私に負けない威圧を放ち出すアレン様。私は怖くはないけれどそれをまともに受けたドロシーの顔色はとても悪い。おそらく正義感の暴走が収まって自身のやらかしにようやく気がついた感じ…かしら?
「……だが特別にカレディを突き飛ばした少女の罪はディティリスの男達に委ねてやってもいい。私の婚約者を傷つけられて腹立たしいが、私は黙ってやってもいい……お前がそれを私に渡すのならば」
それ。アレン様が指さしていたのは…ドロシーが着けた私がプレゼントした髪飾りだった。




