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令嬢レベル3-66


少し体調を崩してからお兄様達が過保護になった。それまでも本邸に戻ってから一日三度はあっていたけれど今はとにかく細かな休憩も会いに来てくれて、レンお兄様に至っては毎回クッキーを下さる。


おかげで食べきれないほどのクッキーが積まれる結果になったけれど、不安でいっぱいの今はお兄様が会いに来てくれることは嬉しさしかない。


帰りにエルバの少年に差し上げる革手袋も完成した。と思っていたらお兄様からそれを大量生産して領民たちに配布する予定と聞いて驚いた。

領民たちにカレディの優しさを届けたいんだと笑ってらしたけれど、きっと新たな特産品に出来そうだと思ってらっしゃるに違いない。これで特産品に出来ればあまりがちだった皮の処分も出来て、作成のために雇用も出来て、農民たちも手の痛みの軽減になれば…みんな喜ばしい結果になるけれど、どうなるかしら。


大樹の癒しの誘惑も振り払い、ドロシーにも私が教えられるだけの教育も施し、あっという間にパーティの日がやってきた。


早朝からララと名前を知らないメイドに全力で磨きあげられる。

ドロシーも子爵令嬢として参加するため今はここにいない。けれど、元々ララと補佐のメイド達だけで私の世話をしてくれていたから特に問題は無い。


「あら、こちらのドレスなの?」


「ジャン様よりこちらを着るようにと言われております」


今日はジャンお兄様のエスコートで入場をするので、お兄様と合わせると聞いていたのに着させられたのはアレン様に贈られた淡い紫のドレスだった。

王子の婚約者をアピールしたいのかしら?


「む……お嬢様、またサイズが変わりましたねえ」


「…ララのマッサージのせいじゃなくて?」


「お嬢様の成長期のせいです」


アレン様から贈られたドレスは普段から私がドレスを作っていただいているお店の物だったからサイズは把握してるだろうに胸元が少しキツかった。


「少し下品じゃないかしら」


「でしたらこちらのコサージュをおつけになったらどうでしょう」


「良いわね、そうしてちょうだい」


少しだけ胸元の布が引っ張られた感があるので黄色い花のコサージュで誤魔化す。

ん、薄紫のドレスに黄色のコサージュ?


「では髪を結いますのでお嬢様は今のうちに栄養補給をお願い致します」


「わかったわ」


積みクッキーを消化している間に二人がかりで髪が複雑に編み込まれていく。

けれど、ひと房だけ垂らす。耳の横を通って項に触れて胸元に垂らされた黒髪はつやつやのサラサラだ。


そういえば、この髪型はアレン様が好きだったわね。髪にキスがしやすいと喜んでまるでペットの紐みたいによく私の髪を掴んでキスをしていた。


さくっと、クッキーを噛んでふむと考える。


アレン様を連想するドレス。

アレン様が好きな髪型。

ジャンお兄様と合わせてるとは思えない現在の状況。


………。


「ねえ、ララ」


「なんでしょうか」


「パーティが始まる前にアレン様を呼んできてくださるかしら?」


居る気がする。彼が、この屋敷に。

にっこり笑って鏡越しにララを見つめて言うとララもにっこりと笑い返してくれた。正しくたぬきの化かし合いのようだ。


「ジャン様が酷くご立腹ですので難しいと思われますが、御要望はお伝えします」


「そう、ありがとう」



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