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第95話 戦いの余韻

―王都外縁・遠距離観測地点―

(王都兵・観測班視点)


「……終わった……のか……?」


 誰かが呟く。


 誰も答えない。


 答えられない。


―沈黙―


 さっきまで。


 あの場所は。


 “何か”で満ちていた。


 圧。


 重さ。


 理解できない力。


 それが。


 消えた。


―兵士―


「……静かすぎる……」


 違和感。


 戦いが終わったにしては。


 何もなさすぎる。


―観測魔導士―


「……いや……違う……」


 目を細める。


 必死に観る。


「……何も“残っていない”」


―意味―


 爆発でもない。


 魔法でもない。


 衝撃の残滓すら。


 感じない。


 普通なら。


 何かが残る。


 だが。


 あそこには。


 何もない。


―恐怖―


「……どうやって……」


 誰かが呟く。


 理解できない。


 だから。


 怖い。


―別視点:王都の役人―


「……確認班を出せ」


 低く命じる。


 だが。


 声が硬い。


 普段と違う。


―部下―


「……近づくんですか……?」


 思わず聞き返す。


 無理だと分かっている。


―役人―


「……確認は必要だ」


 言い切る。


 だが。


 その目は。


 完全に警戒している。


―場面転換―

―王都外縁・荒野―


 静かだ。


 風だけが流れている。


 その中心。


 ゼルが立っている。


 動かない。


 何もしていない。


 ただ。


 立っているだけ。


―リリア―


「……終わりましたね……」


 小さく言う。


 確認するように。


―ゼル―


「……ああ」


 短く返す。


 それだけ。


 感情はない。


―カイン―


 地面に倒れている。


 動かない。


 だが。


 “消えてはいない”。


―余韻―


 激しい戦いだった。


 はずなのに。


 その跡は。


 あまりにも静か。


―リリア―


「……信じられないです……」


「本当に……」


 言葉が続かない。


―ゼル―


「……終わった」


 それだけを言う。


 それ以上はない。


―締め―


 誰も理解していない。


 何が起きたのか。


 どう終わったのか。


 ただ一つ。


 分かるのは。


 “頂点が一つ消えた”という事実だけだった。



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