第94話 終わりの一撃
―王都外縁・荒野―
風が止む。
砂が落ちる。
音が消える。
ゼルとカイン。
向き合っている。
距離は同じ。
だが。
もう。
均衡はない。
―カイン―
「……」
何も言わない。
立っている。
それだけ。
―状態―
削られている。
ズレている。
そして。
“戻らない”。
―ゼル―
踏み込む。
速い。
変わらない。
最初から最後まで。
同じ状態。
―カイン―
迎える。
反応する。
だが。
遅れる。
わずかに。
それだけで。
すべてが決まる。
―衝突―
拳がぶつかる。
――完全静止
ズレない。
逃がさない。
―一撃―
ゼルの拳。
そのまま。
内部へ。
深く。
確実に。
―結果―
カインの体が止まる。
動かない。
一瞬。
完全に。
―終わりの確定―
次の瞬間。
力が抜ける。
膝が落ちる。
そのまま。
地面に触れる。
―リリア―
「……終わった……」
小さく呟く。
信じられない。
だが。
目の前にある。
―カイン―
「……いい」
低く言う。
息は浅い。
だが。
目はまだ生きている。
「ここまで来たか」
―ゼル―
「……ああ」
短く返す。
それだけ。
―最後の言葉―
「……悪くない終わりだ」
カインが言う。
小さく。
静かに。
そのまま。
力を抜く。
―静寂―
風が戻る。
砂が流れる。
戦いは終わった。
―締め―
崩れたわけではない。
壊れたわけでもない。
ただ。
積み重ねの先で。
“終わった”。




