第48話 通じない理由
―王都外縁・荒野―
衝撃。
地面が砕ける。
ゼルの体が叩きつけられる。
「……っ」
土煙。
だが。
すぐに立つ。
―カイン―
「……まだか」
つまらなさそうに言う。
「倒れないな」
―再接近―
踏み込む。
速い。
重い。
回避は間に合わない。
―直撃―
拳が入る。
吹き飛ぶ。
骨が軋む。
確実にダメージ。
―それでも―
「……なるほど」
ゼルが呟く。
声は変わらない。
冷静なまま。
―リリア―
「……やめてください!」
「このままじゃ……!」
「勝てません!」
叫ぶ。
だが。
―ゼル―
「……分かっている」
短い返答。
「通じない」
それを認める。
―分析開始―
「……だが理由はある」
カインを見る。
動き。
筋肉。
重心。
すべてを観察する。
―仮説―
「……硬いんじゃない」
「……?」
リリアが反応する。
「衝撃が通っていない」
「……分散している」
―再接触―
カインが来る。
ゼルは動かない。
あえて受ける。
「……!」
リリアが息を呑む。
―検証―
拳が当たる。
衝撃。
だが。
ゼルの目が動く。
「……やはり」
確信。
―答え―
「……流しているな」
カインの体。
衝撃を受けていない。
“逃がしている”。
―カイン―
「……気づいたか」
初めての変化。
わずかに興味を示す。
―核心―
「……ただ硬いだけじゃない」
「当たっても意味がない構造か」
「……そうだ」
カインが答える。
「全部、流している」
「受けていない」
―理解―
「……なるほど」
ゼルが頷く。
「だから通じない」
―結論―
「なら」
「流せない形で入れる」
静かな一言。
―リリア―
「……できますか?」
「できる」
即答。
「時間はかかるが」
―カイン―
「……面白い」
低く笑う。
「やってみろ」
構える。
初めて。
戦う姿勢を見せる。
―締め―
通じない理由は分かった。
だが。
それだけで勝てるほど。
この相手は甘くない。




