第47話 通じない戦い
―王都外縁・荒野―
土煙が晴れる。
ゼルが立っている。
だが。
「……重いな」
小さく呟く。
ダメージはある。
確実に。
―カイン―
「……立つか」
興味のない声。
ただ確認するように。
「いい」
「壊しがいがある」
―再接近―
踏み込む。
速い。
さっきと同じ。
いや。
さらに速い。
―迎撃―
ゼルが動く。
今度は対応する。
拳を逸らす。
そのまま。
反撃。
―一撃―
叩き込む。
確実に当たる。
手応え。
「……」
だが。
カインは動かない。
―無効―
「……軽いな」
低く呟く。
そのまま。
拳を振る。
―反撃―
ゼルが受ける。
だが。
衝撃が違う。
押される。
「……っ」
踏みとどまる。
だが。
完全に押されている。
―理解不能―
「……効いていない?」
リリアが呟く。
「直撃だったのに……」
ありえない。
―カイン―
「……それで終わりか?」
淡々とした声。
挑発でもない。
ただの事実確認。
―ゼル―
「……」
無言。
だが。
理解している。
―結論―
「……通じないな」
短い一言。
それがすべて。
―圧倒―
カインが踏み込む。
連撃。
一発。
二発。
三発。
すべてが重い。
すべてが速い。
すべてが“致命”。
―防御限界―
ゼルが受ける。
逸らす。
だが。
間に合わない。
「……っ」
吹き飛ばされる。
―絶望―
「……嘘だろ」
リリアの声。
「……何をしても」
「通じてない……」
―カイン―
「……弱いな」
はっきり言う。
「その程度か」
見下しでもない。
ただの評価。
―ゼル―
立ち上がる。
ゆっくりと。
「……いい」
小さく呟く。
「分かった」
―締め―
技が効かない。
力も通じない。
理論も意味を持たない。
これは戦いではない。
ただの。
“圧殺”だった。




