第438話「閉ざされた五人」
贖罪塔には窓がない。
光も差し込まない。
昼と夜の区別さえ存在しない空間で、五人は終わることのない時間を生き続けていた。
いや、生きているという表現すら正しくなかった。
肉体は死んでいる。
それでも意識だけは契約によって固定され、自らが犯した罪と永遠に向き合わされている。
ガルドは剣を振るう。
しかし刃は何も斬れず、自らの身体だけを傷付ける。
リシェルは何度もゼルの名を呼ぶ。
返事は永遠に返ってこない。
エリナは地下施設で目を背けた日々を繰り返し見せられ続けている。
カインは勝利を確信した瞬間から敗北までを何千、何万回と繰り返す。
ヴァルディスは帳簿を開く。
そこには数字はない。
一人ひとりの名前だけが並んでいる。
地下施設で命を奪われた者。
人生を壊された者。
家族を失った者。
ページは終わらない。
読み終えることもできない。
五人は互いの姿を見ることはできても、互いを助けることは許されなかった。
叫びも謝罪も、厚い石壁へ反響し、再び自分自身へ返ってくる。
逃げ場はない。
終わりもない。
塔の外では、子供たちの笑い声が市場へ響いていた。
守られる未来と、終わらない贖罪。
その二つは、黒い石壁一枚を隔てて、決して交わることなく存在し続けていた。
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