第422話「北門の動揺」
王都の北側を強固に防衛する、重厚な鉄格子の北門。数日前まで、この場所は地方からの商隊や物資の搬入で朝から夜まで賑わい、近衛兵たちの鋭い怒号と金属鎧が擦れ合う硬い音が絶え間なく響き渡っていた。しかし、現在の門の周辺には、放置されたいくつかの古びた木箱と、破れた天幕が風に煽られて不規則な音を立てているだけだった。
門を管理する衛兵の詰所には、半分開いたままの扉から冷たい朝霧が容赦なく流れ込んでいた。机の上には、半月前に上層部から直接届けられた、ガルド・レイヴァンの名誉剥奪に関する処理完了の報告書が、色褪せた状態で広げられたままになっている。本来なら、この指示書を確認して次の警戒態勢へ移行すべき担当官の姿は、どこを探しても見当たらなかった。
残された数少ない老兵が一人、冷え切った石畳の上に腰掛け、自分の使い古した槍の穂先を布で静かに拭いていた。しかし、いくら擦っても表面の黒い錆を落とすことはできなかった。磨き油の支給が完全に止まってから、すでにかなりの時間が経過していた。
武器が物理的な戦いではなく、ただ時間が経過するという冷酷な事実によって使い物にならなくなっていく。老兵は槍を武器掛けに戻すこともせず、ただ無感情に開かれたままの正門を見つめていた。彼の視線の先には、誰の指示によるものでもなく、ただ自壊していく都市の静寂な現実だけがどこまでも広がっていた。




