第399話「無動力の沈黙」
王城の最地下に設置された、巨大な換気のための風車施設。かつては地下に広がる無数の閉鎖空間へ新鮮な空気を絶え間なく送り届けるために、多くの作業員が交代で大きな木製の歯車を稼働させていた場所だった。
しかし、今朝の薄暗い作業室には人影がなく、ただ外部の微風に押された木製の翼が、誰もいない空間で虚しくゆっくりと回り続けている。連結部の油が完全に切れ、石の床には金属が激しく擦れ合って生じた微細な削り屑が白く散らばっていた。通りかかった下級の管理官がその様子を見つけ、足をとめた。
金属が激しく擦れ合う高い音だけが、不気味なほどはっきりと静寂の中に響いている。本来なら、すぐに保守の職人を手配して修理させるべき案件だったが、管理官は動こうとはしなかった。彼の懐には、何ヶ月も未払いのままになっている俸給に関する無駄な抗議申請書が入ったままだ。
城内の中枢が機能していない以上、ここで歯車を止めたところで、誰からも評価されず、何の意味も持たない。管理官は床の削り屑を避けて通り過ぎ、そのまま建物の外へと出ていった。施設は誰の明確な悪意によるものでもなく、ただ無関心という名の空気によって、緩やかに、だが確実に完全な停止を始めていた。誰もいない薄暗い空間には、ただ鉄が削れる乾いた音だけが反響していた。




