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裏切られた俺だけが覚醒した 《契約支配(ドミネーション・コントラクト)》 ――奪われたすべてを、奪い返す 〜今さら謝ってももう遅い〜  作者: 竜太郎


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380/444

第380話「穴のあいた境界」

王都を外部から完全に隔離するための、最も堅牢な北門。

鉄の鋲で補強されたその巨大な木製の門扉は、今朝もなぜか半分ほど開かれたままで固定されていた。

門を警戒するべき近衛兵の姿は二人しかなく、彼らは槍を地面についたまま、虚ろな目で通り過ぎる人々を眺めていた。


家財道具を小さな荷車にまとめた平民の家族連れが、引き止められることもなく、門の外へと静かに出ていく。

兵士は彼らを咎めない。名前を尋ねることも、通行の目的を問うこともしなかった。

かつて通行税を厳しく徴収していた城下の役人は、もう詰所のどこにも残っていなかったからだ。


「……門を閉めなくていいのか」


一人の兵士が、風に混じる土埃を避けながら、隣の同僚に尋ねた。


「閉めたところで、この城の中に誰も残らなくなるだけだ」


もう一人が表情を変えずに答えた。

敵の侵入を防ぐための強固な城門は、すでにその本来の機能を完全に失っていた。

そこにあるのは、ただ国から人が零れ落ちていくための、大きな穴に過ぎなかった。

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