表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
裏切られた俺だけが覚醒した 《契約支配(ドミネーション・コントラクト)》 ――奪われたすべてを、奪い返す 〜今さら謝ってももう遅い〜  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
374/444

第374話「閉ざされた書庫」

王城の地下深くに位置する、膨大な歴史を収めた第一文書書庫。

天井まで届く木製の頑丈な棚には、建国以来のあらゆる記録や勅令が、埃を被ったまま厳重に保管されている。


書記官のオーリアスは、冷え切った机の前に座り、小さなインク瓶を見つめていた。

手元には、失脚した高官たちの名前を抹消するための墨消しの道具が揃っている。

しかし、昨日までに上官から指示されていた「ガルド・レイヴァン」の武功記録は、すべての帳面から完全に削り終えていた。


功績だけが誰のものか分からない形で残り、人間という存在だけが綺麗に消え去る。

それが、この城がこれまで繰り返してきた隠蔽の技術だった。


オーリアスは、もう新しく削るべき名前の書類が、自分の元へ届かなくなっていることに気づいていた。

各部署の事務機能が停止したため、指示書を運ぶはずの使いの足音すら、昨日の午後から完全に途絶えている。


彼は静かに立ち上がり、黒く染まった指先を眺めた。

何度洗っても落ちない墨の匂いが、自分の人生そのものを侵食しているかのように感じられた。


仕事はない。だが、退出を許可する上司もそこにはいない。

オーリアスは、鍵の壊れた書庫の扉をそっと閉め、背後の暗闇に全ての帳面を残したまま、誰もいない廊下へと歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ