第364話「三十三枚目の報告」
リリアは朝、机の上に並べられた木片の数を数えていた。それぞれの木片は、王都を構成する各区画の現在の状態を示している。すでに半分以上の木片が、中央の王城を包囲するように黒く塗り潰されていた。
彼女は手帳を開き、今朝方、地方の連絡員から届いた鳥の文を確認した。中央区の末端の役所からも、ついに定期の連絡が途絶えたという短い事実だけがそこに記されていた。リリアは机の上の砂時計を見た。砂はまだ落ち続けているが、その速度は彼女の計算した予測と寸分の狂いもなかった。
彼女は筆を執り、地図の中央区の境界線へ向けて、新しい黒い線を静かに引き伸ばしていった。
「次の区画も、同じ」
リリアは小さく呟いた。城壁の内側で何が起きているか、彼女が直接その目で見る必要はなかった。数字の減少が、すべてを客観的に証明している。世界は彼女が指示を出すまでもなく、独自の法則に従って終わりへと向かっていた。
リリアは手帳を閉じ、次の日付のページに新しい空白を設けた。その空白に意味を持たせるのは、時間の問題に過ぎない。中央がどれほど権威を叫ぼうとも、リリアの地図の上では、すでにただの動かない黒い点に過ぎなくなっていた。
彼女は次の予測の数字を計算し、冷徹にその行方を追い続ける。国の崩壊は、彼女の手元にある数式通りに、一歩の狂いもなく正確に進んでいた。




