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裏切られた俺だけが覚醒した 《契約支配(ドミネーション・コントラクト)》 ――奪われたすべてを、奪い返す 〜今さら謝ってももう遅い〜  作者: 竜太郎


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第359話「商人の帳簿」

王都から遠く離れた街道の宿場町。

商人ジルダは薄暗い宿の一室で、使い古された自分の帳簿を机の上に広げていた。

それは、彼が王都での商売で長年使用してきた、生々しい利益の記録だった。


彼はペンを執り、これまでの主要な取引先の名前の上に、一本の冷たい黒線を引いていった。

王都の特権貴族。城下の大きな問屋。近衛兵の不調法な兵舎。

どれもが、二度と自分に金をもたらすことのない、過去の骸に過ぎない名前だった。

ジルダはそれらを消去し、代わりにバルカスで新しく知り合った地方の商人の名前を余白に書き加えた。


「これでいい。何も問題はない」


ジルダは小さく呟き、帳簿を閉じた。

去っていく王都に対して、彼の中に未練のような感情は一滴も存在しなかった。

商人にとっての国家とは、理不尽に税を毟り取る場所ではなく、ただ自分の商売が安全に成り立つ場所のことに他ならなかったからだ。

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