表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
裏切られた俺だけが覚醒した 《契約支配(ドミネーション・コントラクト)》 ――奪われたすべてを、奪い返す 〜今さら謝ってももう遅い〜  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
354/444

第354話「三十二枚目のノイズ」

ヴァルディスの整然とした机の上に、新しい報告書が一枚、音もなく重ねられた。

昨日までは三十枚だった。今朝、顔を白くした側近が、何も言わずにその紙を置いていった。

そこに記されていたのは、南区のすべての行政機関が今朝から完全に稼働を停止したという、末端からの事実上の敗北宣言だった。


ヴァルディスはペンを持とうとはしなかった。

書類の束の、一番上に位置するその紙を冷徹な目で見つめている。

中身を細かく読む必要はなかった。

書かれている数字も、発生している原因も、すべては彼の頭の中にある予測の範囲内だった。

人間が集団心理によって組織を離脱していくときの、典型的な動向データそのものだった。


だが、その先を解決するための数式がなかった。

去っていった人間をどのようなインセンティブで呼び戻すか、そのための合理的な手段が、彼の地下施設での研究データには存在しなかった。

ヴァルディスは視線を机から外し、静かに窓の外へと戻した。

主のいない机の上で、三十二枚目の書類は冷たい風に小さく揺れていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ