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第348話「翌朝の地図」
リリアは机の上に地図を広げている。
王都の全図だ。
印がついている場所がある。
赤——民が集まった場所。
青——兵が減った場所。
黒——貴族が去った場所。
最初に印をつけたのは、一ヶ月前だった。
その頃は、赤が二つ、青が一つだった。
今日数えると、赤が十一、青が九、黒が六。
リリアは一枚紙を取り出して、数字を書いた。
変化の速さを計算する。
このペースでいくと、あと何日で南区が変わるか。
東区は。中央区は。
計算しながら、少し手が止まる。
これは自分が作っている変化ではない。
ゼルが何か指示したわけでもない。
ただ、世界が動いている。
勝手に動いて、勝手に変わっていく。
リリアは数字を見つめた。
計算の答えが出た。
南区——あと七日。
リリアは地図に、新しい印をつけた。
まだ変わっていない場所に。
変わる前から、印をつけた。
七日後、その印は何色になるのか。
まだ、色は決めていなかった。




