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第344話「空の会議室」
王城の東棟に、大きな会議室がある。
今朝、十時に会議の予定があった。
出席者リストには、貴族の名前が十二並んでいる。
書記官のルーンは、十分前から室内で待っていた。
十時になった。
誰も来ない。
十時十分。
一人来た。隅に座った。
十時二十分。
もう一人来た。窓際に立った。
十時半。
それだけだった。
十二人のうち、二人。
「……始めますか」
ルーンは一応、聞いた。
来た二人は顔を見合わせた。
「……議題は」
「南部の税率改定について、です」
また沈黙があった。
「……次回にしよう」
「次回の日程は」
「……決まったら、知らせる」
二人は出ていった。
ルーンは一人、大きな机の前に立っていた。
十二脚の椅子が、全部空いている。
議事録に書いた。
「出席:二名。審議:未実施。次回日程:未定」
それだけ書いて、部屋の灯を消した。
廊下に出ると、誰もいなかった。




