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裏切られた俺だけが覚醒した 《契約支配(ドミネーション・コントラクト)》 ――奪われたすべてを、奪い返す 〜今さら謝ってももう遅い〜  作者: 竜太郎


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第329話「噂の形」

 王都東区の酒場。


 昼間から数人が座っている。


 話題はいつも同じだ。


「……契約支配、って聞いたか」


 男が言う。


「何それ」


「ゼルって男の力だよ。人を従わせる」


「どうやって」


「目を見るだけで、らしい」


 誰かが笑う。


「嘘だろ」


「嘘かどうかは知らん。ただ、近衛が百人以上辞めたのは本当だ」


 笑いが消える。


 それは知っていた。


「……本当に何もしてないのか、あの男」


「座ってるだけだって」


 沈黙。


 誰かが酒を飲む。


「……怖いな」


 ぽつりと言った。


「剣より怖い」


 誰も否定しなかった。


 酒場の外では、普通の昼間が続いている。


 その中で、噂だけが形を変えながら広がっていく。

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