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第328話「ヴァルディスの問い」
ヴァルディスが側近を呼んだ。
珍しいことだった。
側近が部屋に入る。
ヴァルディスは椅子に座っている。
窓は閉めてある。
「一つ聞く」
「はい」
「あの男は何を待っている」
側近は答えられない。
分からない。
「……存じません」
「そうか」
ヴァルディスは目を閉じる。
「剣ではない。兵でもない。金でもない」
独り言のように続ける。
「それでも王国が動いている」
「……はい」
「面白い問いだ」
短い沈黙。
「答えが出たら、また呼ぶ」
それだけだった。
側近は部屋を出る。
廊下に出て、一度だけ振り返る。
扉は閉まっている。
ヴァルディスがあの調子で動かないのは、研究しているからだ。
そう思っていた。
だが今日は違う何かがあった。
側近にはうまく言葉にできなかった。




