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第327話「退役した男の朝」
元近衛兵の男が、路地裏の安宿で目を覚ます。
十日前に退役した。
後悔はしていない。
していないはずだ。
だが朝になると、習慣で体が起きる。
朝礼の時間に。
誰も呼んでいない。
起き上がって、窓を開ける。
王城が見える。
毎日見ていた場所だ。
旗が揺れている。
旗はある。
変わらない。
だが中身は変わった。
自分が出てきたのだから、確かなことだ。
男は窓を閉める。
今日から何をするか、まだ決めていない。
王都を出るか。
残るか。
広場の方角を、一度だけ見る。
ゼルはそこにいる。
男はしばらく立っていた。
それから、ゆっくりと服を着始めた。




