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第322話「リリアの朝」
リリアは早朝から動いていた。
ゼルの指示ではない。
自分で判断した。
王城周辺の状況確認。
近衛の配置。
城門の警備密度。
数字として記憶していく。
百十七日目。
毎朝同じことをしている。
変化を見るためだ。
今日の変化。
城門東側、警備が一人減っている。
退役か、病欠か。
理由は分からない。
だが減った。
それだけが事実だ。
記録する。
広場を横切る。
ゼルがいる。
目が合う。
ゼルは何も言わない。
リリアも何も言わない。
ただ、小さく頷く。
それだけで十分だった。
二人の間に言葉はいらない。
情報だけが流れていく。




