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裏切られた俺だけが覚醒した 《契約支配(ドミネーション・コントラクト)》 ――奪われたすべてを、奪い返す 〜今さら謝ってももう遅い〜  作者: 竜太郎


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321/444

第321話「貴族街の灯り」

 貴族街の夜は、以前より暗い。


 灯りが減った。


 屋敷のいくつかに人がいない。


 王都を離れたのだ。


 別荘へ。あるいは領地へ。


 理由はそれぞれ違う。


 だが向いた方向は同じだった。


 王都の外。


 残った屋敷のひとつに、老いた貴族がいる。


 窓から通りを見下ろしている。


 灯りの消えた隣家を眺めている。


 あそこの主は三十年来の知人だった。


 去り際に一言だけ言っていった。


「……潮時だ」


 それだけだった。


 老いた貴族は窓を閉める。


 卓の上に書類がある。


 王城からの依頼状。


 会議への出席要請。


 手に取る。


 少しの間、持っていた。


 そして、静かに置いた。


 返事はまだ書いていない。

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