316/444
第316話「静かな加速」
夜。
---
王都東区。
---
小さな集会所。
---
十人ほどが集まっていた。
---
商人。
---
職人。
---
元兵士が一人。
---
声を潜めて話す。
---
「……王都はもう当てにならん」
---
誰かが言う。
---
反論は出ない。
---
「……ならどうする」
---
「……自分たちで動くしかない」
---
短い言葉。
---
重かった。
---
誰かが頷く。
---
また誰かが頷く。
---
決議でも。
---
宣言でもない。
---
ただ。
---
同じ方向を向いた。
---
それだけだった。
---
一方。
---
広場のゼルは目を開ける。
---
何かを感じたように。
---
ほんの少し。
---
口元が動く。
---
「……動いてきた」
---
小さく。
---
静かに。
---
言った。




