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第308話「王国の体温」
夜。
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王城内部。
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会議室。
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報告が続く。
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「……退役願い」
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「……九十五件です」
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静かな声。
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誰も驚かない。
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数字は増える。
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いつものことだった。
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だが。
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次の報告で空気が変わる。
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「……北部補給」
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「……十四日遅延」
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さらに。
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「……南部支援要請」
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「……未処理継続」
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沈黙。
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誰も顔を上げない。
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王国は広い。
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そして。
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繋がっている。
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どこかが止まれば。
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全体へ広がる。
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一方。
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最上階。
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ヴァルディスは窓辺に立つ。
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広場。
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ゼル。
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変わらない。
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「……国は人だ」
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小さな声。
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「……人が減れば」
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「……体温も下がる」
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短い沈黙。
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「……今の王国は」
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「……少し冷え始めている」
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近くの騎士は。
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何も言えなかった。
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その言葉が。
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あまりにも正確だったからだ。
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