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第307話「王都を見に来た者」
夕方。
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王城前広場。
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一人の男が立っていた。
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地方領から来た使者。
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噂を聞いた。
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だから来た。
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そして。
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見た。
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ゼル。
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まだいる。
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動かない。
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変わらない。
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周囲では。
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露店が営業している。
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子供が走る。
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商人が叫ぶ。
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笑い声も聞こえる。
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男は混乱した。
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噂は恐ろしい。
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だが。
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広場は普通だった。
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異常と日常。
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二つが同時に存在している。
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それが。
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王都だった。
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「……本当に」
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「……妙な街だ」
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小さな呟きは。
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風の中へ消えた。
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