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第288話「初めての欠員」
夜。
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王城内部。
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会議室。
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報告が続く。
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「……退役願い」
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「……五十二件です」
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静かな声。
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数字は増える。
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誰も驚かない。
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その時だった。
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「……北門警備隊」
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「……定員割れ」
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短い報告。
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会議室が静まる。
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誰も言葉を出さない。
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ついに来た。
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数字ではない。
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実際の欠員。
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実際の穴。
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王都防衛の一角が。
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埋まらなくなった。
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一方。
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最上階。
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ヴァルディスは窓辺に立つ。
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広場。
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ゼル。
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変わらない。
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「……数字は前兆だ」
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小さな声。
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「……本番は」
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「……穴が見えてから始まる」
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短い沈黙。
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「……そして人は」
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「……穴を見ると恐れる」
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近くの騎士は。
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無意識に拳を握った。
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王国の崩壊は。
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ついに目に見える形になり始めていた。
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