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第200話「ヴァルディスの視線」

 王城最上階。


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 ヴァルディスは静かに窓際へ立っていた。


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 夜。


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 王城前広場。


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 そこにはまだ。


 ゼルがいる。


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「……興味深い」


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 小さな呟き。


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 近衛騎士は顔を伏せる。


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 ヴァルディスだけが。


 ずっと変わらない。


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 王都が揺れている。


 貴族街が崩れている。


 近衛も限界。


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 それなのに。


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 まるで。


 “観察”している。


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「……殿下」


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 騎士が慎重に口を開く。


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「……本当にこのままで……」


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 ヴァルディスは静かに笑う。


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「……まだだ」


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 短い返答。


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「……王都はまだ」


「……完全には壊れていない」


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 騎士の背筋に寒気が走る。


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 この男は。


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 まだ。


 “先”を見ている。


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 一方。


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 王城前。


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 ゼルは静かに空を見上げる。


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 夜空。


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 風だけが吹く。


---


 そして。


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 再び。


---


 王城へ視線を戻した。


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 その視線は。


 真っ直ぐ。


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 ヴァルディスだけを見据えていた。


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