120/148
第120話 選ぶということ
―王都・上層区・エリナの部屋―
静寂。
すべてが止まっている。
だが。
決まっていない。
―エリナ―
「……今……」
小さく呟く。
視線は落とさない。
逃げない。
―ゼル―
「……」
待っている。
何も言わない。
急かさない。
―時間―
数秒。
長い。
重い。
―エリナ―
「……選ぶ……」
ゆっくりと。
言葉にする。
―意味の変化―
今までの“選択”。
それは。
流されたもの。
恐怖に押されたもの。
何もしなかったこと。
―だが今は違う―
逃げない。
見ている。
理解している。
その上で。
―エリナ―
「……私が……決める……」
震える声。
それでも。
はっきりと。
―沈黙―
ゼルは動かない。
ただ。
見ている。
―エリナ―
ゆっくりと。
一歩。
前に出る。
逃げない。
距離を詰める。
―意味―
受けるのではない。
選ぶ。
自分で。
―エリナ―
「……終わらせる……」
静かに言う。
ゼルと同じ言葉。
だが。
意味は違う。
―確定―
逃げではない。
強制でもない。
自分で決めた。
―ゼル―
「……ああ」
短く返す。
それだけ。
―空気の変化―
終わりが近い。
だが。
これは。
“与えられた終わり”ではない。
―締め―
初めて。
本当の意味で。
選んだ。
その時。
すべては。
“終わる準備が整った”。




