第119話 それでも終わらない
―王都・上層区・エリナの部屋―
静寂。
何も動かない。
時間だけが過ぎる。
―エリナ―
「……」
立っている。
震えはある。
だが。
逃げない。
―ゼル―
「……」
同じ場所。
同じ距離。
何も変わらない。
―違和感―
終わるはず。
もう十分。
すべては揃っている。
だが。
終わらない。
―エリナ―
「……どうして……」
小さく呟く。
視線は落とさない。
―問いの変化―
なぜ殺さないのか。
ではない。
なぜ。
“今”なのか。
―ゼル―
「……終わっていない」
静かに言う。
―エリナ―
「……何が……」
震える声。
―ゼル―
「……お前の中だ」
短く。
はっきりと。
―意味―
事実は出た。
記憶も戻った。
選択も認めた。
だが。
それだけでは。
終わっていない。
―エリナ―
「……っ……」
言葉が詰まる。
―理解未満―
何かが足りない。
それは分かる。
だが。
何か分からない。
―ゼル―
「……選べ」
低く言う。
―エリナ―
「……もう……選んだ……」
かすれた声。
逃げないと。
終わると。
―ゼル―
「……それは過去だ」
即座に切る。
―現在の選択―
今。
この瞬間。
何を選ぶか。
―エリナ―
「……今……」
言葉が止まる。
考える。
逃げない。
だが。
それだけでは。
足りない。
―本質―
終わりは。
“受け入れること”ではない。
“選ぶこと”。
―締め―
終わらない理由は一つ。
まだ。
“最後の選択”が残っているからだった。




