第118話 見届ける者
―王都・上層区・屋敷外―
(リリア視点)
「……遅い……」
小さく呟く。
扉の前。
動けない。
―状況―
ゼルが中に入ってから。
時間が経っている。
長い。
異様に長い。
―リリア―
「……終わってるはず……」
そう思う。
実力的に。
状況的に。
もう。
終わっているはず。
―違和感―
なのに。
出てこない。
音もない。
気配も変わらない。
―不安―
「……何してるの……」
小さく言う。
理解できない。
―記憶―
カインの時。
あっさり終わった。
無駄がなかった。
迷いもなかった。
―対比―
今回は違う。
明らかに。
時間を使っている。
―リリア―
「……あの人……」
思い出す。
エリナ。
名前だけ聞いた存在。
だが。
―直感―
「……違うんだ……」
小さく呟く。
カインとは。
何かが。
決定的に。
―場面転換―
(屋敷外・近衛騎士視点)
「……静かすぎる」
騎士が言う。
―騎士A―
「……戦闘の気配がない」
不自然。
普通なら。
何かしら起きる。
―騎士B―
「……逆に怖いな……」
小さく言う。
―意味―
何も起きない。
それが。
一番異常。
―場面転換―
―リリア視点―
扉を見る。
開かない。
音もない。
―リリア―
「……」
分からない。
中で何が起きているのか。
―本質―
戦いではない。
別の何か。
もっと。
重いもの。
―リリア―
「……見届けてるんだ……」
小さく呟く。
自分でも驚く。
自然に出た言葉。
―理解未満の理解―
戦っていない。
終わらせている。
“何か”を。
―締め―
中で起きているのは。
戦闘ではない。
決着でもない。
もっと静かな。
そして。
取り返しのつかない何かだった。




