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第117話 終わりの先に
―王都・上層区・エリナの部屋―
静寂。
動かない。
エリナは目を閉じたまま。
立っている。
―時間―
数秒。
何も起きない。
ゼルも動かない。
―違和感―
終わるはず。
なのに。
終わらない。
―エリナ―
「……」
ゆっくりと。
目を開ける。
逃げない。
視線を上げる。
―視線―
ゼルを見る。
まっすぐ。
初めて。
逃げずに。
―エリナ―
「……まだ……」
小さく言う。
―未完の終わり―
「……終わってない……」
―ゼル―
「……ああ」
短く返す。
それだけ。
―意味―
終わりは。
“行為”ではない。
“状態”。
―エリナ―
「……怖い……」
正直に言う。
初めて。
隠さずに。
―ゼル―
「……そうか」
否定しない。
慰めもしない。
―沈黙―
再び。
静寂が落ちる。
―本質―
ここから先。
ただ“終わる”だけなら。
簡単。
だが。
それでは。
“終わらない”。
―エリナ―
「……全部……」
「……分かってる……」
震えながら。
それでも。
言う。
―確定の維持―
逃げない。
揺れても。
崩れても。
戻らない。
―ゼル―
「……ああ」
それだけ。
変わらない。
―締め―
終わりはまだ来ない。
だが。
逃げ場はもうない。
その状態こそが。
“終わりの始まり”だった。




