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第113話 許しは存在しない

―王都・上層区・エリナの部屋―


 静寂。


 言い訳は終わった。


 涙だけが残る。


―エリナ―


「……っ……」


 顔を上げられない。


 視線を向けられない。


―ゼル―


「……」


 立っている。


 変わらない。


 何も。


―時間―


 数秒。


 長い。


 異様に長い。


―エリナ―


「……ごめ……」


 言いかける。


 だが。


―ゼル―


「……要らない」


 遮る。


 短く。


 即座に。


―停止―


 言葉が止まる。


 完全に。


―エリナ―


「……っ……」


 息が詰まる。


 何も言えない。


―ゼル―


「……意味がない」


 淡々と。


 感情なく。


―本質―


 謝罪。


 後悔。


 涙。


 すべて。


 “今”のもの。


―ゼル―


「……あの時には無かった」


 静かに言う。


―事実の提示―


 必要だったのは。


 あの時。


 その場。


 その瞬間。


―エリナ―


「……違う……!」


 反射的に否定する。


 だが。


 続かない。


―ゼル―


「……違わない」


 短く。


 切る。


―確定―


 選んだ。


 見た。


 何もしなかった。


 それで終わり。


―ゼル―


「……それが全部だ」


 それだけ。


 余分な言葉はない。


―エリナ―


「……っ……」


 崩れる。


 支えがない。


 もう。


 何も残っていない。


―本質―


 許すかどうかではない。


 最初から。


 “存在しない”。


―ゼル―


「……終わらせる」


 淡々と告げる。


 決定事項として。


―締め―


 許しはなかった。


 憎しみもなかった。


 ただ。


 “終わらせる”という結論だけがあった。



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