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第112話 崩れる言い訳

―王都・上層区・エリナの部屋―


 静寂。



 涙は止まらない。



 だが。



 それでも。



 言わなければならない。



―エリナ―


「……私……は……」



 震える声。



 言葉を探す。



 繋ごうとする。



―本能―


 守ろうとする。



 自分を。



 少しでも。



―エリナ―


「……知らなかった……」



 小さく言う。



 ようやく出た。



 “言い訳”。



―沈黙―


 ゼルは何も言わない。



 否定もしない。



 肯定もしない。



 ただ。



 見ている。



―違和感―


 その視線。



 あの時と同じ。



 逃げ場がない。



―エリナ―


「……途中で……」



「……止められなかった……」



 続ける。



 言葉を重ねる。



―防御―


 責任を薄める。



 少しでも。



 軽くするために。



―だが―


「……違う……」



 自分で止まる。



 言葉が。



 崩れる。



―矛盾―


 知っていた。



 分かっていた。



 見ていた。



―エリナ―


「……違う……」



 もう一度言う。



 今度は。



 弱く。



―崩壊の開始―


「……分かってた……」



 小さく。



 認める。



―沈黙―


 部屋が重くなる。



 空気が沈む。



―エリナ―


「……怖かった……」



 言葉が出る。



 初めて。



 “感情”として。



―本質の露出―


 止められなかった理由。



 正当化ではない。



 ただの。



 恐怖。



―だが―


「……それでも……」



 言葉が続く。



 止まらない。



―結論―


「……見てた……」



 はっきりと。



 確定する。



―完全崩壊―


 言い訳は。



 もう成立しない。



 自分で。



 全部崩した。



―ゼル―


「……ああ」



 短く返す。



 それだけ。



―締め―


 言い訳は終わった。



 残るのは。



 事実だけ。



 そして。



 それを選んだという現実だけだった。




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