第22話:新たな仲間
攫われたブラックの手がかりを探すシンとアラストルは大蜘蛛を撃破して開いた門の中へと向かうのだった
シンとアラストルが門を潜り抜けると広場の様な場所に出た。
草木が生い茂る中、辛うじて残っている石畳の先には闘技場と闘技場を見下ろすかの様にそびえ立つ塔が有った。
シンが歩みを進めると木の陰からシンと同じ位の大きさのトカゲが飛びかかってくる。
器用に二足歩行をするトカゲのその腕には剣と見間違うほどの巨大な爪が有った。
シンはトカゲの爪撃を避けると背中の剣を抜いてトカゲを斬り上げた瞬間に剣を振り下ろして斬り伏せるが、その瞬間に新たなトカゲが草むらから飛び出してくる。
シンは反撃しようと飛びかかって来たトカゲたちを再び斬り上げると落ちて来たトカゲたちを斬り払おうとするが、新たに飛び出して来たトカゲの奇襲を受けて倒れてしまう。
トカゲたちは倒れたシンに爪を突き刺そうと飛びかかるが、シンは飛び上がって爪を避けると一か所に密集したトカゲたちに飛び蹴りを叩き込んで着地する。
シンは己の大剣を拾い上げると起き上がったトカゲたちに斬りかかるが、爪で剣撃を受け止められてしまう。
シンは剣を引くと突きを打ち込もうとするが、爪で斬り上げられてしまう。
だが、シンは空中で体勢を立て直すと剣を構えて落下したかと思うと、トカゲに突きを打ち込んで吹き飛ばしながら着地する。
シンは剣を背中に収めると右腕をライフルに変えて吹き飛んだトカゲたちを狙撃する。
魔弾に貫かれたトカゲたちが倒れるとそれを待っていたかの様に新たなトカゲたちが現れる。
シンは右腕をロケットランチャーに変えるとトカゲの群れに向かって撃ち放つが、トカゲたちは飛んできたロケット弾を爪で斬り裂いてしまう。
「おいおい。マジか?」
激しい爆発が起きる中、シンが困惑した隙にトカゲたちは一斉に飛びかかるとシンに爪を突き刺す。
突き倒されたシンにトカゲたちが群がると爪や牙がシンの身体を斬り裂く。
アラストルが加勢しようとすると木の陰から別のトカゲが飛び出して来てアラストルに襲いかかる。
シンの血肉を巡ってトカゲ同士の小競り合いが起きた隙にアラストルは目の前のトカゲを斬り伏せてトカゲの群れを次々に斬り払ってシンの周りからトカゲを追い払う。
「シン。大丈夫?」
視線を落とさずにアラストルが訊ねると傷だらけのシンが立ち上がる。
「あぁ。生きてる」
シンはそう言うと背中の剣を抜き、アラストルと共にトカゲたちに突きを打ち込んでいく。
シンは剣を背中に収めると反撃しようと飛びかかって来たトカゲに殴りかかるが、その拳は空を切ってトカゲに斬り伏せられてしまう。
シンは一瞬の隙を突いて起き上がると右腕をライフルに変えて魔弾を撃つが、トカゲたちに避けられてしまう。
木の陰から新たなトカゲが奇襲をかけてくるが、シンはジャンプで爪撃を避けると空中からトカゲたちに魔弾を浴びせる。
「裁きの銃弾!!」
アラストルが魔弾を浴びて倒れたトカゲたちに突きを打ち込んで一か所に集めているとシンが着地して右腕を元に戻すとトカゲたちに殴りかかるが、逆に突き倒されてしまう。
何かの拍子にシンが宙へと打ち上げられるとトカゲたちは落ちて来たシンに爪を刺そうと群がるが、シンは空中で体勢を立て直すとそのまま落下して地上のトカゲたちを吹き飛ばして着地する。
吹き飛んだトカゲたちをアラストルが突きを打ち込んで更に吹き飛ばすとシンは背中の剣を抜いて斬りかかるが、逆に突き倒されてしまう。
シンは背中から勢いよく翼を出して反動で跳ね上がると空中で体勢を立て直してそのまま落下してトカゲたちに飛び蹴りを叩き込みながら着地する。
シンは構えるとトカゲたちが吹き飛んだ方向に向かって正拳突きを繰り出す。
その瞬間に拳から漆黒の閃光が飛び出してトカゲたちに向かって飛んで行く。
シンの漆黒の魔力がトカゲたちを焼き尽くす中、アラストルの祈りを受けた蒼剣が雷と共に何匹ものトカゲを貫いて葬っていた。
だが、まだトカゲたちはシンに襲いかって来る。
シンは爪撃を避けると右腕をライフルに変えて狙撃するが、トカゲたちは魔弾を避けてしまう。
シンは右腕を元に戻すと飛びかかって来たトカゲにハイキックを打ち込んで蹴り飛ばすと倒れたトカゲに殴りかかるが、トカゲは間一髪で拳を避けてしまう。
シンは右腕をショットガンに変えて魔弾を撃つが、トカゲは避けるとシンを斬り上げる。
シンは空中で体勢を立て直すと右腕をガトリングガンに変えてトカゲたちに魔弾を乱射する。
シンは着地した後もガトリングガンを連射していたが、死角から襲われて斬り伏せられてしまう。
倒れたシンにトカゲたちが群がろうとする中、アラストルが次々にトカゲを斬り払ったお陰でシンは「大した傷を負わずに」立ち上がる事が出来た。
シンは飛び上がるとアラストルに斬られたトカゲが集まってる場所に向かって落ちていく。
シンの飛び蹴りを受けたトカゲたちが吹き飛ぶ中、シンは着地すると回し蹴りを打ち込もうとするが、木を蹴った反動で戻って来たトカゲに斬り上げられてしまう。
落ちてきた所を爪で斬られたシンが吹き飛ぶとトカゲたちは一斉に走り出してシンに飛びかかると次々にシンに爪を突き刺す。
トカゲたちは何度もシンに爪を突き刺すと血に染まった爪をピチャピチャと美味そうに舐め回す。
一瞬の隙を突いてアラストルがトカゲたちを斬り払うとシンは立ち上がり、背中の剣を抜くと魔力を込めて刀身を伸ばすとトカゲたちに魔力の刃を振り下ろす。
何匹ものトカゲが刃に潰される中、アラストルの祈りと共に幾重にも稲光が走るとトカゲたちは蒼炎に包まれて倒れていく。
シンは剣の刀身を元に戻すと残ったトカゲに斬りかかるが、躱されて突き倒されてしまう。
倒れたシンにトカゲたちが群がるとトカゲたちは競い合う様にシンの身体を斬り裂く。
トカゲたちに覆われてシンの姿が見えなくなったかと思うと漆黒の閃光が天に向かって放たれると群がっていたトカゲたちが炭化して砕け散る。
その中からシンが起き上がると草むらから新たなトカゲが襲いかかるが、アラストルはトカゲを斬り捨てるとシンを庇う様に立ちはだかる。
「ありがとな」
シンはそう言って立ち上がると飛び上がり、トカゲの群れに向かって飛び蹴りを食らわせる。
シンが着地するとアラストルの祈りと共に雷が吹き飛んだトカゲたちに落ちる。
シンは右手をサブマシンガンに変えると飛びかかって来るトカゲたちに魔弾を浴びせる。
シンの魔弾を受けて倒れたトカゲたちをアラストルが斬り上げるとシンは両手を拳銃に変えるとトカゲたちに魔弾を浴びせて撃ち落とす。
地面に落ちた後も起き上がろうとするトカゲをアラストルが踊る様に斬り伏せるとシンは両手を元に戻してから襲いかかって来たトカゲを蹴り上げると後を追う様にジャンプしたかと思うと空中で何発か殴ってから蹴り落とす。
シンは着地すると右腕をライフルに変えるが、死角から襲いかかって来たトカゲに斬り上げられてしまう。
トカゲたちは落ちてきたシンを斬り払って吹き飛ばすと後を追って一斉に走り出す。
シンは吹き飛んだ先で自分の剣を見つけると拾いながら立ち上がり、向かって来たトカゲたちを斬り上げた瞬間に斬り伏せて地面に叩きつける。
シンは剣を背中に収めてから起き上がったトカゲたちに回し蹴りを叩き込もうとするが、斬り上げられてしまう。
だが、シンは空中で体勢を立て直すとトカゲたちに向かって落ちていき、飛び蹴りを食らわせる。
シンは着地するとトカゲたちに回し蹴りを叩き込もうとするが、逆に斬り上げられてしまう。
シンは空中で背中の剣を抜くと落下の勢いも利用してトカゲたちに突きを打ち込んで着地する。
シンは剣を背中に収めると右腕をロケットランチャーに変えると吹き飛んだトカゲたちに向かって撃ち放つ。
激しい爆発が起きるとトカゲたちは爆炎に包まれる。
シンは右腕を元に戻すと爆炎の中の影に向かって殴りかかるが、影が揺らめいたかと思うと斬り上げられてしまう。
シンは空中で背中の剣を抜くと爆煙の中に落ちていく。
爆煙が晴れるとシンに剣を突き刺されて息絶えるトカゲの姿が現れる。
シンはトカゲから剣を抜くと背中に収めるが、その瞬間に斬り上げられてしまう。
トカゲたちは落ちてきたシンを再度斬り上げると咆哮をあげる。
その瞬間に広場に更にトカゲたちが現れる。
シンが落下してくるとシンの周囲はトカゲの軍勢に囲まれていた。
トカゲたちはシンを爪で斬り払うとまるでボールをパスするかの様に円陣の中でシンを吹き飛ばし続ける。
だが、いきなり空から落ちて来たアラストルがトカゲを斬り伏せるとシンをボールに見立てたパス回しは終了を告げる。
トカゲたちが怒りを表すかの様に唸ると地中からもトカゲたちが現れてシンとアラストルは取り囲まれてしまう。
シンは立ち上がると両手を拳銃に変えてトカゲたちに向かって魔弾を乱射する。
その隙にアラストルがトカゲたちを斬り伏せると一筋の道が現れる。
シンはアラストルと共にその道を走り抜けてトカゲたちの円陣から抜け出ると両手をサブマシンガンに変えてトカゲたちに魔弾を浴びせる。
アラストルは魔弾を喰らって倒れたトカゲたちを次々に斬り上げて襲いかかって来るトカゲたちにぶつけていく。
シンは両手を元に戻すと背中の剣を抜いてトカゲたちに斬りかかるが、逆に斬り伏せられてしまう。
倒れたシンに群がろうとしたトカゲをアラストルが迎撃している間に立ち上がったシンは飛び上がったトカゲにハイキックを打ち込んで蹴り飛ばす。
シンは蹴り飛ばしたトカゲに追撃を打ち込もうとするが、死角から飛んで来たトカゲに斬り伏せられてしまう。
トカゲたちはシンを斬り上げようとするが、シンは落ちていた自分の大剣で咄嗟にガードする。
だが、隙を突かれて剣を弾かれると爪で斬り裂かれてしまう。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!」
シンが苦悶の声をあげるとトカゲたちは嘲笑う様に喉を鳴らして次々にシンを斬り裂く。
アラストルがシンに群がるトカゲたちを斬り払うとシンは立ち上がり、反撃しようと向かって来るトカゲたちにフック、アッパーと拳を繋ぐと落ちて来たトカゲたちにストレートをと同時に拳から魔力を撃ち放つ。
「クロスブレイク!!」
トカゲたちが吹き飛ぶとシンは己の大剣を拾い上げて魔力を込めて刀身を伸ばすと魔力の刃をトカゲたちに振り下ろすが、爪で受け止められてしまう。
驚いたシンは剣を振り上げるが、その隙に突き倒されてしまう。
倒れたシンの周りにトカゲたちが群がるとシンは両腕をショットガンに変えてトカゲたちを撃ち飛ばす。
「零距離射撃!ダブルショットガン!!」
シンは両腕を元に戻すと立ち上がるが、その瞬間に背後から駆け寄って来たトカゲに斬り上げられてしまう。
シンは空中で体勢を立て直すと着地と同時に近くのトカゲに正拳突きを打ち込み、その瞬間に魔力を撃ち放つ。
漆黒の閃光が消えるとシンは落ちている自分の剣を拾い上げるが、その瞬間に斬り伏せられてしまう。
シンが起き上がろうと抗うとトカゲたちは爪でシンを斬り払って吹き飛ばす。
吹き飛ばされた先でシンが起き上がろうとすると飛びかかって来たトカゲに斬り伏せられてしまう。
アラストルが周囲のトカゲを斬り伏せている間に立ち上がるとシンはジャンプしたかと思うと縦に回転しながら落ちてきてトカゲたちに踵落としを叩き込む。
「回転刃!!」
シンの踵落としを喰らって舞い上がったトカゲたちが落ちてくるとアラストルは突きと同時に蒼剣から雷を撃ち出してトカゲたちを炭化させていった。
シンは右手をサブマシンガンに変えるとトカゲたちに魔弾を撃ち放つ。
魔弾を受けてトカゲたちが倒れるとシンは右手を元に戻して殴りかかるが、爪で斬り伏せられてしまう。
トカゲたちは倒れたシンに爪を振り下ろすが、シンは爪撃を避けて立ち上がるとハイキックを打ち込んでトカゲたちを蹴り飛ばす。
シンは右腕をロケットランチャーに変えると蹴り飛ばしたトカゲたちに向かって撃ち放つ。
激しい爆発が起きるとトカゲたちは爆炎に包まれる。
シンは右腕を元に戻すと爆炎の中の影に向かって殴りかかるが、影が揺らめくとシンの拳は空を切る。
シンはジャンプすると縦に回転しながら落下してきて爆煙に向かって落ちていく。
「回転刃!!」
シンが着地すると爆煙が晴れて吹き飛ぶトカゲたちが現れる。
シンは吹き飛んだトカゲたちに追撃を打ち込もうとするが、他のトカゲの爪撃を避けている間に吹き飛んだトカゲたちが体勢を立て直してしまう。
シンがトカゲたちとの間合いを詰めていると地面から勢いよく飛び出して来たトカゲに吹き飛ばされてしまう。
シンは吹き飛んだ先で自分の剣を見つけると拾いながら立ち上がると追撃を打ち込もうと駆け寄って来るトカゲたちをアラストルと共に斬り払う。
だが、その瞬間に死角から飛び出して来たトカゲに斬り払われてシンは吹き飛んでしまう。
シンは受け身を取り、地面を転がってから立ち上がると右腕をロケットランチャーに変えると自分に向かって来るトカゲたちに向かって撃ち放つ。
ロケット弾が命中するとトカゲたちは激しい爆発と共に爆炎に包まれる。
その瞬間に木の陰から一斉にトカゲたちが飛び出してくるが、アラストルの祈りと共に雷が落ちると飛び出して来たトカゲたちは蒼炎に包まれながら悶え苦しむ。
シンは右腕を元に戻すと爆炎の中の影に向かって回し蹴りを叩き込もうとするが、影が揺らめくとシンの蹴りは空を切り、逆に斬り上げられてしまう。
斬り上げられたシンがそのまま爆煙の中に落ちると再びシンは宙へと打ち上げられる。
爆煙が晴れるとそこには火傷を負いながらもシンへ怒りの咆哮を行うトカゲたちの姿が有った。
それを見たアラストルがトカゲたちを斬り上げるとシンは空中で体勢を立て直すとトカゲたちを何発か殴ってから蹴り落としてから着地する。
シンが着地するとトカゲたちはシンを斬り伏せると斬り上げる。
シンは落下しながらトカゲたちを蹴り飛ばそうとするが、爪を振り上げられて斬り上げられてしまう。
落ちて来たシンを斬り上げようとするトカゲをアラストルが斬り伏せるとトカゲたちはアラストルを取り囲むが、シンが着地すると周囲のトカゲたちが吹き飛び、その瞬間にシンは近くのトカゲにフック、アッパーと拳を繋ぐと落ちて来たトカゲにストレートを打ち込むと同時に拳から魔力を撃ち放つ。
「クロスブレイク!!」
漆黒の閃光を見たトカゲたちが逃げ惑うとアラストルの祈りを受けた蒼剣が雷を纏ってトカゲたちを貫いていく。
漆黒の閃光と雷の剣でトカゲたちが炭化して砕け散るとシンは魔力を止めて右手を拳銃に変えるが、その隙に生き残ったトカゲたちに斬り伏せられてしまう。
アラストルがトカゲたちを斬り払っている間にシンは起き上がると落ちている己の剣を拾い上げると魔力を込めて刀身を伸ばしてトカゲの群れに向かって魔力の刃を振り下ろす。
巨大な漆黒の刃に同族が潰されるのを見たトカゲの動きが止まるとアラストルは蒼剣に祈りを込めて残ったトカゲたちに雷を落とす。
シンは剣を背中に収めると右腕をショットガンに変えるが、その隙に駆け寄って来たトカゲに斬り上げられてしまう。
シンは空中で体勢を立て直して着地すると近くのトカゲにフック、アッパーと拳を繋いでいき落ちて来たトカゲたちにストレートを打ち込むと同時に拳から魔力を撃ち放ち、魔力でトカゲたちを焼き尽くす。
「クロスブレイク!!」
アラストルの祈りを受けた蒼剣が雷を纏いながらトカゲたちを貫くとトカゲたちは炭化して砕け散る。
シンは魔力を止めるとジャンプしたかと思うと生き残ったトカゲたちに飛び蹴りを食らわせる。
シンの蹴りを受けて吹き飛んだトカゲたちにアラストルの祈りと共に雷が落ちるとトカゲたちは炭化して砕け散る。
シンは背中の剣を抜くとトカゲたちに斬りかかるが、逆に突き倒されてしまう。
シンが起き上がろうとするとトカゲたちは飛び上がり、爪を突き刺してシンを押し倒す。
アラストルが群がるトカゲたちを斬り払った隙にシンは立ち上がり、剣に魔力を込めて刀身を伸ばすと漆黒の魔力の刃を振り下ろした後に真横に振り払う。
シンの剣撃を受けたトカゲたちが動かなくなると周囲に有った木が倒れてトカゲたちの骸を隠す形になる。
それはまるで勇敢に戦った戦士を葬るかの様にも見えた。
「はぁ。ようやく終わったな」
「随分かかったね」
シンはため息をつきながら剣を背中に収めると周囲を見渡す。
「何処に行く?」
アラストルが訊ねるとシンは塔を指差す。
「昔、探し物をする時は高い所から見た方が良いって教わったんだよな。とりあえずあそこ行くか」
「へぇー」
シンはアラストルと話しながら塔へと向かう。
シンとアラストルは身構えながら塔に入るが、塔の中には悪魔や魔獣の類は一体も居なかった。
「ここには何も居ないんだね」
アラストルが安堵した様子で言うとシンは笑う。
「歓迎されなくて寂しいのか?」
「そんな事無いもん!」
冗談を言いながら二人が塔を登りきると最上階からは夕日に照らされる闘技場やその周りに広がる森が一望出来た。
「悪魔がウヨウヨしてる事を除けば良い場所だよなぁ」
「そうね」
シンとアラストルが話していると横の壁に炎がぶつかる。
轟音と熱気に驚いた二人が振り返るとそこには炎に燃えながら宙に浮く籠手が有った。
「あれも悪魔?」
「さぁ?とりあえず喧嘩売って来てるのは確かみてぇだけどな」
シンはそう言うと右手をサブマシンガンに変えると籠手に向かって撃ち放つ。
魔弾を喰らった籠手が怯むとシンは右手を元に戻すと殴りかかるが、燃え盛る籠手の右ストレートを受けて吹き飛ぶ。
籠手が追いかけてくるとシンは起き上がり、右手をサブマシンガンに変えると魔弾を撃ち放つが、籠手は「同じ手は通じない」と言うかの様に魔弾を避けきってしまう。
「マジか。自信あったんだけどな」
シンはそう呟くと籠手を追いかけてサブマシンガンを撃ち続けるが、右手を見失っている事に気づく。
「ん?右手、何処行った!?」
シンが叫ぶと
「シン!後ろ!!」
アラストルの声を聞いて振り向いたシンの顔面に右ストレートが炸裂してまたしてもシンは吹き飛んでしまう。
左右の籠手が奇襲の成功を喜ぶかの様にハイタッチをするとシンに向かって来て休む事無くシンを殴り始める。
防戦一方のシンに飽きたのか右手が裏拳をシンに叩き込むとシンンはまたしても吹き飛んでしまう。
「ぐあっ!!」
壁にぶつかったシンが苦悶の声をあげると籠手は右手が猛スピードで突っ込んで来たかと思うとシンの顔面に右ストレート打ち込もうとするが、シンは首を傾げて拳を避ける。
「同じ手が何度も通じると思うなよ?」
シンがそう言って立ち上がると右手は裏拳を打ち込もうとするが、その隙を突いたシンのハイキックを受けて吹き飛んでしまう。その瞬間に左手がシンに背後から襲いかかろうとするが、それを見越していたアラストルが左手を斬り上げる。
シンは右腕をショットガンに変えるとアラストルの斬り上げた左手に魔弾を浴びせる。
左手が吹き飛ぶと右手がシンの背後から襲いかかろうと飛んで来るが、それを察知して駆け寄ったアラストルに斬り払われてまたしても右手は吹き飛ぶ。
左手がシンに向かって飛んで来るとシンンは右手をサブマシンガンに変えて魔弾を撃つが、籠手は全ての魔弾を避けてしまう。
シンは右手を拳銃に変えて籠手の左手を狙うが、その隙を突かれて籠手の右手にアッパーを打ち込まれて吹き飛んでしまう。
「え!?そっちに居たの!?シン!!ごめん!!!」
アラストルの謝罪が塔の中を木霊する中、籠手の右手は空中のシンに向かって飛んで行く。
シンは空中で体勢を立て直すと塔の壁を蹴って向かって来る籠手の右手に蹴りを叩き込む。
シンの蹴りと右手の拳が激突すると轟音と衝撃波が塔全体に響き渡る。
勢いを失った両者が床へと着地すると仕切り直しと言う様に右手が向かって来るが、シンは右手をガトリングガンに変えると飛んで来る籠手の右手に向かって魔弾を撃つ。
魔弾を喰らった籠手の右手に差し伸べる様に動いた籠手の左手はアラストルに斬り上げられて塔の天井にぶつかって床に落ちる。
シンは右手を元に戻すと背中の剣を抜いて籠手の右手に振り下ろすが、右手はシンの剣を掴むと
「まだ負けてない」と言うかの様に指先の炎が激しく燃える。
「ふっ。ガッツ有るな」
シンは笑うと剣を引いて籠手から己の剣を解放すると振り上げて籠手の右手を斬り上げる。
その瞬間に意識を取り戻したかの様に動き出した籠手の左手はアラストルに再び斬り上げられて天井にぶつかって床に落ちる。
シンが剣を背中に収めるとアラストルは籠手の左手を斬り払ってシンの元へと送る。
シンは両腕をショットガンに変えると二つの籠手に向かって銃口を押し付けて魔弾を浴びせる。
「零距離射撃!ダブルショットガン!!」
苦しむかの様に二つの籠手が暴れるとシンは更に魔弾を撃つが籠手から放たれる熱が激しくなり、
シンは銃口を籠手から離してしまう。
その瞬間、二つの籠手は交互にシンを殴り飛ばす。
シンが塔の壁にぶつかると籠手の右手が飛んで来るが、シンは立ち上がるとハイキックを打ち込んで籠手の右手を蹴り飛ばす。
シンは両腕を元に戻すと再び向かって来る籠手の右手に殴りかかるが、右手は避けるとシンの顔面に右ストレートを叩き込む。
シンが吹き飛ぶと籠手は両手揃ってシンに向かって行くが、シンは立ち上がると正拳突きを繰り出す。
当然、シンの腕のリーチに籠手は来ていないので拳は当たらなかったが、シンは拳から魔力を撃ち放って籠手を吹き飛ばす。
シンは右腕をロケットランチャーに変えると吹き飛んだ籠手たちに向かって撃つ。
激しい爆発が起きると籠手は両手共に爆炎に包まれるが、元々燃え盛っているせいか籠手は爆炎の中を泳ぐ様に動き回ると勢いよく飛び出してくる。
「マジかよ!?」
驚きながらもシンは右腕を元に戻して背中の剣を抜いて籠手に斬りかかるが、籠手はシンの剣撃を避けると右アッパーをシンに打ち込む。
天井にぶつかって落ちて来たシンが動かないのを確認した籠手は一仕事終えたとでも言うかの様に手を払うとアラストルを両手で指差す。
それはまるで「次はお前だ」と予告するかの様だった。
アラストルが走り出すと籠手は「逃げても無駄だ」とでも言うかの様に指差したままゆっくりと向きを変える。
だが、籠手は知らなかった。
戦っている男が不死身である事。
動かない理由が撃ち出す魔力を溜める為と言う事。
男の左腕が大砲に変わっている事。
その全てに気づけなかった籠手は真正面からシンの魔力砲を受けて吹き飛ぶ。
シンは左手を元に戻して立ち上がると右手に握りしめた己の剣で裏拳を打ち込もうとしてきた籠手の右手を斬り上げる。
シンは続いて向かって来た左手を斬り伏せると落ちて来た右手と共に斬り払う。
シンは剣を背中に収めると右腕をショットガンに変えて反撃しようと向かって来る籠手に魔弾を撃つが、避けられて右アッパーを打ち込まれてしまう。
右手は倒れたシンに裏拳を叩き込もうとするが、シンは避けて立ち上がると右腕を元に戻してから右手を何発も殴ってから蹴り飛ばす。
シンは右腕をライフルに変えて籠手の左手を狙撃するが、左手には魔弾を避けられてしまう。
「外したか」
シンはそう言うと右腕を元に戻す。
その瞬間に火球が飛んできたかと思うとシンに命中してシンの身体は炎に包まれる。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
シンが悲鳴をあげる中、戻って来た右手が火を消そうと暴れ狂うシンにアッパーを打ち込むと炎に包まれたシンが当たった天井が崩落してシンの姿は見えなくなる。
だが、籠手は「許さない」と言うかの様に瓦礫を殴り飛ばして下敷きになっていたシンを吹き飛ばす。
シンが壁にぶつかると籠手は猛スピードでシンに向かって来るが、シンは籠手の拳を避けて立ち上がると右手を蹴り飛ばす。
シンは背中の剣を抜くと魔力を込めて刀身を伸ばし左手に振り下ろすとそのまま真横に剣を振り払って左手を斬り払う。
反撃しようと戻って来た右手にアラストルの祈りを受けた蒼剣が雷を纏ったまま突き刺さると爆発が起きて更に幾度も雷が蒼剣と籠手に落ちる。
爆発と落雷の閃光が続く中、シンは剣の刀身を元に戻してから背中に収めると右手をサブマシンガンに変えて籠手の左手に撃つが、左手は魔弾を避けるとシンの顔面にストレートを叩き込む。
シンが倒れると籠手の左手はアッパーを打ち込もうとするが、シンがサブマシンガンを撃つと近づけずに魔弾の回避を続けていた。
距離が開けたのでシンが魔弾を撃つのを辞めて立ち上がるとその隙を突いて左アッパーを打ち込んでくる。
シンは空中で籠手に向かって魔弾を撃つが、籠手はその全てを避けてしまう。
シンは受け身を取りながら塔の床に着地すると右手を元に戻してから背中の剣を抜くが、籠手に左アッパーを打ち込まれてしまう。
シンが宙に打ち上げられると籠手の左手は裏拳を打ち込んでシンを床に叩きつける。
籠手の左手は倒れたシンを掴むと壁に向かって投げ飛ばす。
壁に叩きつけられたシンが動けずにいると籠手の左手は裏拳を叩き込もうとしてくるが、シンはそれを避けてふらりと立ち上がると籠手の左手を壁ごと何度も殴ると、とどめを刺すかの様に籠手の左手を蹴って壁に叩きつける。
シンと籠手の左手が戦っている間も爆発と落雷が続いていた蒼剣VS右手の戦闘で一際大きな爆発が起きると右手がシンにアッパーを叩き込んでシンは宙へと打ち上げられる。
籠手はまるで右手が左手を心配する様に包み込むと宙に打ち上げられたシンに両手揃って向かったかと思うと何発も殴ってから互いを抱きしめ合うかの様に手を組むとその状態で振り下ろしてシンを床に叩きつける。
籠手は抱擁を解くと右アッパーを打ち込もうとする。
シンは拳を避けて立ち上がるが、左ストレートを受けてまたしても倒れてしまう。
戻って来た蒼剣にアラストルが祈りを捧げると蒼剣は再び雷を纏って籠手に向かって行く。
右手が蒼剣に「受けて立つ」と言うかの様に前に出ると爆発と落雷が起きて塔の中は常人では目を開けていられない程の閃光に包まれる。
その中でシンは己の剣を拾い上げると魔力を込めて刀身を伸ばすと籠手の左手に向かって剣を振り下ろした後に真横に剣を振り払って左手を斬り払う。
シンが剣の刀身を元に戻して背中に収めると蒼剣も突きを辞めて右手を解放する。
蒼剣が戻ってくるとアラストルは籠手に向かおうとするが、シンはそれを制止する。
「……!?なんで!?」
激しく燃えていた籠手の炎が穏やかな物になると年老いた男とボロを纏った少女の姿が現れる。
シンが歩み寄ると年老いた男がこちらを振り返り叫ぶ。
「頼む!わしの事は好きにして良い!!だから、この子には手を出さないでくれ!!!」
老人の言葉を聞いたシンは首を傾げると口を開く。
「いや。俺、別にお前らにどうこうしようって思ってないから。何なら、俺たちがいきなり襲われた被害者だぞ?俺が襲ってきました!って感じになってるのおかしくねぇか?」
シンの言葉を聞いた老人は頷き
「確かにそなたの言う通り。先手はこちらだったな。すまない事をした。結界を超えてこちらに来る上に尋常では無い量の魔力を持っているので、わしの力を狙って来た悪魔かと思ってな」
シンは老人の言葉を聞いて鼻で笑う。
「まぁ、悪魔ってのは確かだけどな。この島に居る奴らと同じ扱いを受けるのは嫌だな。それに俺が不死身だから良かったものの不死身じゃ無けりゃお前らのせいで黒焦げになって死ぬところだったんだからな?ごめんじゃ済まねーよ」
老人がうなだれるとシンは言葉を続ける。
「詫びって言ったら変だけどよ?お前ら、この辺りで黒髪の女を見てないか?もしくは、これくらいの魔石」
シンが手で大きさを表して二人に訊ねると老人も少女も首を横に振る。
「そうか」
シンが落胆した様子で居ると
「もしやお前、女攫いなのか?」
「よーし。ジジイ。歯ぁ食い縛れ!?」
「アハハハハ」
老人とシンの会話を聞いていたアラストルが笑うと老人は頷く。
「いや。すまなかった。わしの勘違いだった様じゃ。攫われた者がその様に穏やかに笑うはずが無いからの。そなたの名を聞いても良いかの?」
名を訊ねられたシンは頷き
「俺の名はシン。海賊だ」
「海賊!?」
老人が驚くとアラストルが慌てて口を開く。
「大丈夫!シンは良い人だから!この城で倒れてた私が悪魔に襲われない様にって一緒に行動してくれてるから!」
アラストルの言葉にシンは首を傾げる。
「いや。海賊だから良い奴では無いぞ?」
「話がややこしくなるでしょ!!」
シンとアラストルの会話を眺めていた老人は深く頷くと口を開く。
「シン。わしは人間では無い」
「うん。知ってる」
「そういう意味じゃないと思うよ!」
「……・わしはその昔、古い民たちに信じ崇められていた神なのじゃ。もう、呼ばれる名も無くしてしまったがな。そして、後ろに居る子はその民の末裔の魂。わしらを信じていた民たちは十字の神の使徒を名乗る者たちと対立したが故に殺され、奪われ、虐げられた。この子は生まれた時から名も与えられずに奴隷として粗末に扱われた上に主人からの命の最中に攫われて悪魔を召喚しようとする生贄にされてしまった」
「……酷い」
「その儀式の時に祭壇に置かれたわしの宿っていた籠手とこの子の魂が互いを護った。そして、わしとこの子は一緒に居たのじゃ。知らぬ内にこの様な場所に来ていたのじゃが。そこで死にゆく老人の最後の頼みとして聞いて欲しい事が有るのじゃ」
「なんだよ?」
「この子を連れて行ってくれはしないか?」
老人の言葉を聞いた少女が激しく首を横に振る。
「……!!……嫌だ!私、じいちゃんと一緒に居たい。ずっと一緒に居るって約束してくれたじゃんか!!」
責める様に少女が叫ぶとシンも首を横に振る。
「俺は海賊だ。人さらいじゃない。嫌がる奴を連れてけねーよ」
シンの言葉を聞いた老人も首を横に振る。
「シン。そなたとの戦いでわしは力を大分使ってしまった。きっと、名や姿を知る者が他にも居れば力に困る事も無かったのだが……。わしにはもう結界を張る力も無い。もし、このチャンスを逃したならこの島に住まう悪魔たちに力を奪われてわしの魂もこの子の魂も悪魔に取り込まれてしまう。わしはずっとこの日を待っていた。この子を安心して託せる者が来る日を。見た所、そなたは力でその娘さんを隷属させてる訳じゃない様だし、衰えているとは言えど武神だったわしに勝てる程の強さを持っているなら心配無用と言う物。だからこそシンに頼みたい。いや、シンにしか頼めないのじゃ!頼む!!」
シンは少し考えると真紅の髪の少女に訊ねる。
「お前はどうしたい?」
少女は少しの沈黙の後に口を開く。
「……。じいちゃんが居ないなら嫌だ」
「そうか。わかった。ジジイ。済まんが諦めてくれ」
「え!?でも、このままじゃ悪魔に魂奪われちゃうんだよ!?」
アラストルが戸惑う中、老人は深紅の髪の少女の方を向くと口を開く。
「何、わしは何処にも行かんよ?ずっとお主と一緒じゃ。お主は幼くして死んでしまった。わしはお主の何倍も生きて居るがこの世界には楽しい事、美しい物、素晴らしい物が沢山有る。それを知って欲しいのじゃ。だから、しばらくこのように話したり、抱きしめたりは出来ないがわしはお主とずっと一緒じゃ。衰えたとは言えども神の端くれ。相手が幼子と言えども約束は守る。だから安心してくれ」
老人が優しく微笑むと少女は首を縦に振る。
「後は頼んだぞ。シン」
老人が呟くとシンも無言で頷く。
「我が名を汝に授けよう。我、魔を退けし聖なる炎の番人にして、力と勇気を司る者。我が名と力をもって汝に今一度命を与える。聖なる炎で汝の往く道を照らさん事をここに誓う。我が名はイフリート!!愛し子を守る為に戦う者なり!!!我が愛し子よ。誕生日おめでとう。また会える日を待っているよ」
老人がどんどん若返りながら言葉を続けていき、最後には子供の様な姿で少女に別れを告げるとその姿は薪を燃やしきった炎が消える様に穏やかに消えていく。
「……。なんでだろ。悲しい訳じゃ無いのに涙が出てくるよ」
アラストルが涙を流しながら呟くとシンは頷く。
「煙は目に染みるからな」
そんな会話をしていると少女の身体が光り輝いて胸部と腰回りを守る軽鎧を纏った姿になる。
勿論、その両手には燃えてはいないが籠手が有った。
「もうちょっと他の場所も守った方が良いと思うけどなぁ」
シンがそう言うと少女は笑って
「大丈夫。攻撃なんか避けちゃうから!」
「何て呼べば良い?」
シンが少女に訊ねると少女は満面の笑みで
「私の名前はイフリート!!ちゃんと覚えてくれよな!」
少女の返事にシンが頷くとアラストルがイフリートに抱きつく。
「イフリート!初めまして!!私の名前はアラストル。わかんない事や困った事が有ったら何でも言ってね?」
アラストルが涙を流しながら笑顔で言うとイフリートは笑いだす。
「泣きながら笑ってて変なの。うん。よろしくな。アラストル」
シンは二人の少女の会話を眺めると歩き出す。
「そろそろ行こうぜ」
「「うん!!」」
老人の炎が3人を照らすかの様に窓から差し込む夕日が後ろから3人を照らすのだった。
はい。22話読了感謝です。
プロローグに出て来たイフリートが登場です。
前回から期間が空いてしまった事をこの場でお詫び致します。
申し訳ありません。
あまり機関が空かない様に頑張りますので次回も読んでもらえると嬉しいです。
それでは次回にお会いしましょう。




