第15話:蒼雷の剣
図書室で死神の大群と戦ったシンの前に突如として現れたシュヴァルツと言う男を倒して、シンは攫われたブラックを探しに廊下へと戻るのだった。
シンが廊下に戻ると一本の剣が大理石の床に刺さっていた。
その剣は白を基調とした柄と刃に蒼の線のような鮮やかな細工が施されていた。
廊下を進む為にシンが剣を避けて進むと床に刺さっていた剣が抜けて浮き上がるとシンの背中に勢いよく突き刺さる。
倒れたシンが動かないのを確認すると魔剣はゆっくりとシンの身体から抜けて何処かへ向かおうとする。
「…おいおい。人に刺さっておいてごめんなさいも無いのか!?」
起き上がったシンが叫ぶと魔剣が光り出して水色の鮮やかな髪をポニーテールに纏めて白いワンピースを着た10代後半位の少女が現れる。
「だから、私は何もしてないって言ってるでしょ…!?…どうして誰も私の話を聞いてくれないの!?」
少女が悲痛な叫びを発する中、シンは自分の胸に手を当てて
「いやいや。ここ見ろよ。お前の握ってる剣が刺さった痕くっきり残ってんぞ!?」
シンの言葉を聞いた少女は首を横に何度も振ると睨みつけてくる。
「知らない…。…私じゃない」
少女はそう言うとシンに斬りかかってくる。
シンは両手を拳銃に変えると少女の握る剣に魔弾を撃つ。
少女が剣で魔弾を弾くとシンは両手を元に戻してから背中の剣を抜いて斬りかかるが、何発も突きを打ち込まれて吹き飛んでしまう。
吹き飛んだシンが立ち上がると少女は剣を高く掲げていた。
シンは再度斬りかかるが、少女が剣を振り下ろすとシンに雷が落ちる。
眩い雷光が辺りを照らすとシンの全身は蒼炎に包まれて倒れてしまう。
少女が倒れたシンに背を向けた瞬間、蒼炎に包まれたシンが飛びかかって来る。
気配を察知した少女は剣を振り上げてシンを斬り上げてから瞬時に剣を振り下ろしてシンを斬り伏せる。
「雷に打たれても生きてるだなんて。化け物?」
少女が呟くと黒焦げになったシンが立ち上がり
「褒め言葉として聞いておいてやるけどよ。雷落とす女も化け物だぞ?」
シンはそう言って右手をマシンガンに変えると剣を構えて向かって来る少女に魔弾を撃つ。
少女が剣で魔弾を弾くとシンは落ちている自分の剣を拾い上げて魔力を込めて刀身を伸ばすと少女に剣を振り下ろす。
だが、少女は剣を振り上げるとシンの剣撃を弾き返す。
「…おいおい。マジで化け物かよ?」
シンはそう言うと剣の刀身を元に戻して背中に収めると両手を拳銃に変えて魔弾を撃つが、少女は剣で魔弾を弾いてしまう。
「芸が無いのね。その程度ならもう終わりにしましょう?」
少女の言葉を聞いたシンはニヤリと笑い
「その程度だぁ?じゃあ、見せてやるよ。とっておきだ」
シンは左手を元に戻してから右腕をロケットランチャーに変えて少女に向かって撃つ。
激しい爆発が起きるとシンは右腕を元に戻す。
「あれだけの力が有るんだ。少なくとも人間じゃねぇ」
シンはそう呟いて相手の反応を探っていたが、雷が落ちてシンは蒼炎に包まれて倒れてしまう。
爆炎が消えると少女は剣を握りしめて倒れたシンに近づいていく。
少女がシンに剣を振り下ろそうとするとシンは転がって剣撃を避けて起き上がり、背中の剣を抜くと何度も突きを打ち込むが、少女はその全てを剣で弾く。
シンは突きの打ち込みを辞めると剣を背中に収めてから右腕をライフルに変えて魔弾を放つが、少女は剣で魔弾を弾く。
シンは右腕を元に戻すと少女に殴りかかるが、少女は剣で身を守る。
シンは拳から魔力を撃ち出して、少女を吹き飛ばすと両腕をショットガンに変えて少女を追いかける様に走り出すと左右の腕から交互にショットガンを撃ち放つ。
絶えず魔弾が飛んでくる中、立ち上がった少女は剣で魔弾を弾く。
シンが両腕を元に戻すと少女は駆け寄ってシンを斬り上げようと剣を振り上げるが、シンは背中の剣を抜いて上から叩き付けるかの様に少女の剣を押さえつける。
だが、その瞬間に少女は剣を支えにしたかと思うとシンの顔面に蹴りを叩き込む。
蹴られたシンが倒れると少女は剣を振り上げるが、シンは瞬時に起き上がるとジャンプして剣撃を避けると右腕をライフルに変えて剣を狙撃する。
シンが着地した瞬間に少女は剣を振り上げてシンを袈裟斬りにする。
シンが倒れると少女は再度剣を振り下ろすが、シンは二発目の剣撃を避けると立ち上がって背中の剣を抜いて魔力を込めて刀身を伸ばすと剣を振り下ろす。
少女は剣を振り上げてシンの剣撃を弾き返すが、シンはそのまま横に剣を振り抜いて少女ごと剣を斬り飛ばす。
倒れた少女が起き上がらないのを見たシンはゆっくりと歩み寄ると、自分の大剣を少女の握っている剣に突き刺すかの様に何度も刃同士でぶつけ合う。
すると、少女の身体が青く光り出したかと思うとこの世の者とは思えない声色で少女がシンに語りかけてくる。
「汝は我に力を示した。汝の願いを叶えてやろう。言ってみろ」
少女の身体を使い、何者かが告げてくるとシンは少女の剣に傷をつけるかの様に刃を滑らせる。
「随分上から言ってくれるな?正直に言えよ。「負けました。何でもしますから殺さないでください」ってよ」
シンの言葉を聞いた存在は怒りを露わにする。
「おのれ!我を愚弄するか!大人しく願いを言えば叶えてやったものを!!」
横たわったままの少女の身体が雷を纏うとシンは勢いよく自分の大剣の刃を蒼剣にぶつける。
「あいにく俺は悪魔で海賊なんだ。欲しい物は自分の力で奪う。お前が助かる方法は俺が決める」
少女の顔が苦痛に歪むと少女の中の存在が吠える。
「ならば早く告げよ!」
空気を震わせるかの様に存在の怒号が響くとシンは鼻で笑い
「まずは名を名乗れよ?親に教わらなかったのか?」
シンはそう言うと大剣を蒼剣に振り下ろす。少女が苦悶に喘ぐと存在は口を開く。
「我が名はアラストル。雷の化身なり」
存在が名乗るとシンは名乗り返す事無く質問を続ける。
「で?なんでそんなか弱い女の子の姿なんだ?まさか趣味とかふざけた事言わないよな?」
アラストルは鼻で笑うと口を開く。
「愚かで矮小な人間たちが我を召喚した時にこの剣の中に居た魂で恨みの力が強かったのがこの女だった。それだけだ」
アラストルの言葉を聞いたシンは頷くと大剣を蒼剣に突き刺すかの様にぶつけると
「よし。決めた。お前、その剣の中の魂を全て解放しろ。さもなくばこの剣ごとお前を殺す」
シンの言葉を聞いたアラストルは少女の首を横に振って答える。
「ほとんどの魂は我の雷で消滅した。この者は我がこの世界に居続ける為に必要だ。その願いには応えられない」
アラストルの答えを聞いたシンはいらついた様子で大剣を蒼剣にぶつける。
「そうかい。じゃあ、仕方無ぇな。死にな」
そう言うとシンの瞳は紅くなり、大剣に魔力を流し込む。
「我、悪魔なり、我、奪う者なり。かの者の名と力を奪い、この剣に囚われた哀れな娘に与えよう。名を失った愚か者が地の底に堕ち、永劫を闇の中で過ごす事を願わん」
シンが言葉を紡ぐと存在は慌て出す。
「…!?……何故だ!?…何故、そんな事が出来る!?…貴様は何者だ!?」
名を失った者の質問を聞いたシンは紅い目で少女の中の存在を睨みつける。
「お前みたいなクズに名乗る名は親から貰って無い。失せろ」
シンの言葉を聞いた名を失った者が慌て出す。
「おのれ!!ここまで我を愚弄するとは…!!こうなればこの娘も道連れ…」
名を失った者が喚くとシンは更に魔力を込める。
「この娘の名はアラストル。この者に触れたくば名を名乗れ」
シンの言の刃で少女の魂が守られると名を失った者が暴れ出す。
「オノレ…オノレ…キサマ…ヨクモコノオレノナヲ…!ユルサン…ユルサンゾ…!!……カナラズオマエラヲ…ミツケダシテ…コロシテヤル…!!!」
名を失った者が怨嗟の言葉を叫んだ瞬間に暗闇が全てを覆ったかと思うと少女の身体から蒼い光が消えていた。
シンは大剣を背中に収めるとしゃがんで少女の様子を眺めて息が有る事を確認すると揺り起こす。
「おい。おい。起きろ。こんな所で寝てたら風邪ひくぞ?」
シンに揺さぶられ続けて少女が目を覚ますとシンは手を離す。
「……んっ。ここは…?何処?」
少女が呟くとシンは首を横に振る。
「俺もよく知らん。でも、こんな所で寝てたら風邪ひいちゃうし危ねぇぞ?」
シンの言葉を聞いた少女は頷く。
「そうね。でも、私、どうしてここに居るのかしら?」
少女が不安そうにするとシンは立ち上がる。
「どうやって来たのか覚えて無いのか?」
シンが訊ねると少女は静かに頷く。
「そうか。じゃぁ、一緒に来るか?」
シンが訊ねると少女はシンを見上げる。
「良いの?私なんかじゃ何の役にもたたないよ?」
少女の問いにシンは頷く。
「別に良いさ。そう言えばまだ名乗って無かったな。俺の名はシン。海賊だ」
シンの職業を聞いた少女は身を強張らせる。
「…海賊?私を奴隷として売るの?」
少女の返答を聞いたシンは深くため息をつく。
「…信用出来ないなら仕方ないけど、俺はそんな三流海賊みたいな外道な事はしねぇ。俺は魔宝専門の海賊だ。俺が奪うのは悪魔か神からだけって決めてるのさ」
シンの言葉を聞いた少女はじっとシンを見つめる。
「んまぁ、海賊って名乗られたら普通はそっちを想像するか。まぁ、仕方ない。一緒に来るのが嫌なら…」
シンがここまで話すと少女は首を横に振る。
「だ丈夫。だって、よくよく考えたら奴隷として売るならわざわざ起こさないもんね。失礼な事を聞いてごめなさい。えっと…私の名は…アラストル…?」
少女が不安そうに名乗るとシンは首を傾げる。
「自分の名前、わからねぇのか?」
シンが訊ねるとアラストルは頷く。
「ここに来るまでの事も、周りから何て呼ばれてたのかも覚えて無いの。だけど、名前だけが頭の中に流れるみたいに出て来たの」
アラストルの言葉を聞いたシンは頷くと
「そうか。それなら他の名前を考えるか?」
シンが訊ねるとアラストルは首を横に振る。
「ううん。名前は誰かがくれた大切な物だもん。だから、良いの。ありがとう。これからよろしくね。シン」
アラストルが笑って話しかけてくるとシンは頷く。
「なぁ、その剣どうする?お前が持ってたみたいだけど、重いなら持ってやろうか?」
シンが訊ねるとアラストルは首を横に振る。
「これね。重たくなんかないんだよ。とっても軽いの。振ると風が起きる位にね。でも、ちゃんと切れ味も抜群なんだから」
アラストルが意気揚々と伝えてくるとシンは知ってると言わんばかりに頷く。
「でも、なんでこの剣を手に入れたのかは覚えて無いのよね」
アラストルが不安そうにすると
「じゃあ、それを持ってれば何かの手がかりになるかもな」
シンがそう言うとアラストルは頷いてシンに訊ねる。
「ねぇ、シンはどうして血だらけで焦げてるの?何かあったの?」
シンは首を横に振ると口を開く。
「悪魔が切れ味の良い剣を振り回しながら雷を乱射してたんだ。さて、そろそろ行こうか」
シンがそう言うとアラストルは目を丸くしながら頷いて歩き出したシンについて行くのだった。
お久しぶりです。15話読了感謝です。
今回はシンの元に居るアラストルのお話でした。
これから先、シンと仲間の会話シーンが増えると思うのでご期待ください。
では、次のお話でお会いしましょう。




