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第113話 マリー果樹園産、果物のゆくえ

「「「「「「ただいまー!!!!」」」」」

「院長せんせーーー! 見て見て〜〜〜〜!!」

「ほらーー!すごいんだよーー!!」


 夕暮れになり、やどり木亭でのお手伝いの仕事を終えた子どもたちが、教会に併設されている孤児院へ、元気な声を上げながら戻って来ました。

 ローベの街は治安が良いとはいえ、1日の仕事を終えた子どもたちがこうして無事に戻ってくると、わたくしたちもようやくほっといたします。


「院長先生、お土産ーーーー!!」

「ほら見て〜〜!」

「マリーお姉ちゃんがくれたのーー!」

「見て見て!! たくさんもらったよ!!」

「とっても美味しいの〜〜!!

「みんなで食べるのーー!!!」


 やどり木亭でのお手伝いを終えた子どもたちは、いつも院に戻ってくると、1日のことをそれはそれは楽しそうに話してくれるのですが、本日も良い1日でしたのでしょう。


「おやまあ、賑やかですこと!」


 扉を入ってきた子どもたちは、両手に大きな荷物を持ったまま、こちらに向かって駆けて参ります。

 まあ! 建物の中や室内では走ってはならないといつも言い聞かせていますのに、今日はよほど気持ちが昂ぶっているようですね。


「あなたたち、ここは屋内ですよ。それに、両手が塞がっているのにそのように走っては危ないではありませんか?」


 元気にはしゃぐ子どもらしい姿は微笑ましいのですが、怪我をしてしまっては大変ですからね。


「「「「「あ!」」」」」

「「そうだった!」」

「やべ!…あっ!『やべ』もダメだった!」

「「「「「ごめんなさい!」」」」」

「「ごめんなさい〜〜」」


 このように、少し注意をすれば思い出して気をつけてくれるのですから、皆、素直な子どもたちです。


 一瞬、反省の表情を見せて駆け足をやめた子どもたちは、次の瞬間には再び表情を輝かせて、ですが今度は走らず、できる限りの早足でわたくしたちの元までやって参りました。

 子どもたちの様子から見るに、よほど嬉しいことがあったのでしょう。


 それにしても、子どもたちのこのように嬉しそうな表情を頻繁に見ることができるような日々が来ようとは……。わたくしは思わず神に感謝いたしました。

 これも、やどり木亭さんのおかげでございますわね。

 孤児院の経営状態は決して余裕があるとは申せませんでしたので、少し前までは考えられないことでしたから。



「それで、本日はどのようなことが………まあ!あなたたち…それはどうしたのです…?」



 子どもたちの輝くような表情に気を取られておりましたが、手元を見て見れば、その両手に持っている籠には、溢れんばかりに果物が盛られているではありませんか。

 これは、ただ単にたくさんの果物……というだけではございませんね…。


 わたくしは伯爵家の出なものですから、一通りの知識は持っております。

 え? なぜ伯爵家の娘であったわたくしが孤児院の院長をしているか、ですか?

 そうですわね。それには少々事情がございまして……ええ、あれは今から30年ほども前のことでしたわ………。はっ……いえ、今はそのお話はよろしいでしょう。


 ええと…そうでしたわね。

 何を申し上げたいかといえば、普段、平民では食する機会の少ないような高価な果物などについても、多少は存じている、ということでございます。

 そして、なぜ今そんなことを申し上げるかといえば、子どもたちが持っている籠にたっぷりと盛られている果物は、平民であるわたくしたちが到底購入することができないような、いわゆる高価なもの、だからなのです。



「これねー!やどり木亭でもらったのー!」

「これね、マリーちゃんにもらったの! 院長先生へ『みなさんでどうぞ』って〜〜!!」

「「「もらったの〜〜!」」」

「「「の〜〜〜!!」」」


 子どもたちは元気にはしゃぎながら、口々にそのように申しますが…


「このような貴重なものを、このようにたくさん? こちらは“ホロロン”に“マスカッティン”、あちらの籠に入っているのは“モモリン”でしょう?」

「え? 院長先生、それは大変高価な果物なのではありませんか?」

「ええ、そうなのですけれど…」


 一緒にいるシスターが驚きの声をあげましたが、それもそのはず。

 籠に盛られているのは、紫色の丸い実が房状になった“ホロロン”とホロロンとよく似た、黄緑色の丸い果実が房状になった“マスカッティン”。どちらも大変美味であることに加え、確か、魔法を使う貴族には特に人気のある果物です。

 それに、“モモリン”は果肉はみずみずしく香り高く、こちらも大変美味な果実であり、さらには、軽い体調不良や風邪などであれば、この果実を食すことで体調が回復するという貴重なものなのです。

 要は、いずれも高価であって然るべき、という果物だということで、簡単に受け取ってしまって良いものかと思わず躊躇ってしまうほどなのです。


 ええと、そうですね。まずはやどり木亭のお仕事でまとめ役をしているアリーに経緯を尋ねてみることにいたしましょう。


「アリー、これらはやどり木亭さんでいただいたのですか?」

「はい、院長先生!」

「うん、そうだよ!お土産だよって!」

「院長先生、みんなで食べてね!ってマリーちゃんが言ってた!」

「味見させてもらったの! とおお〜〜〜っても、おいしかった〜〜〜!」

「すっげえ美味しかった!」


 これまでもやどり木亭さんからは、お仕事帰りの子どもたちが、頻繁にベリーの実をいただいて参るのです。それなのに、今度はまたこのような高価な果物を…。


「このようにたくさん、いただいても良いのでしょうか」


 若いシスターが心配そうにしていますが、わたくしも気になってしまいます。

 子どもたちに十分行き渡るほどのこの量なのです。もし購入したのならば、大変な金額になったのではないかしら。

 わたくしがそう思案しておりましたら、アリーが「あ!」と声をあげました。


「そうだ! 院長先生にお手紙を渡してねって、オリバー支配人から預かってきたんでした!」

「おじさんからお手紙だよ!」

「おじさんじゃないよ! オリバー支配人って言ってるでしょ!」

「あ!そう! オリバー支配人から!」


 わいわいと、元気な声を上げ続ける子どもたち。

 やどり木亭のオリバー支配人からのお手紙には『いただき物のお裾分けですので、ご遠慮なさらずにどうぞ。宿では賄いきれないため、院で召し上がっていただけるとこちらも助かります。くれぐれもお気になさらずに』というようなことが書かれておりました。

 やはり高価な果物ですから、わたくしたちが困惑するのではないかとご配慮くださったのでしょう。有り難いことでございます。



「院長先生! オリバー支配人、なんて?」

「食べていいって?」



 支配人のお手紙が果物に関することだと察していたのでしょう。

 いつの間にか、わたくしとシスターの周りには、本日は孤児院に残っていた子どもたちや、他の見習いの仕事から戻ってきた子どもたちも加わってぐるりと囲むように集まっています。そしてその誰もが、期待を込めた熱い眼差しでこちらを見つめているのです。

 …これはお言葉に甘えて、有り難く頂戴することにいたしましょう。



「ええ、やどり木亭さんからのお裾分けですよ。これは大変貴重なものですよ。ありがたいことですね。 皆で神に感謝をして、あとでいただきましょうね」



「「「やったあ〜〜〜!!」」」

「「「「「わあ〜〜〜〜〜」」」」」

「「「「「わーーーーーい!!」」」」」



 院では普段やどり木亭さんからベリーなどをいただくので食べる機会はありますが、普通ならばこのように高価なものでなくても、果物など森に入って収穫でもしなければ、なかなか食べる機会もありませんから、子どもたちも大変喜んでいます。



 それにしても、このようにたくさんの果物をお裾分けとは…有り難いことですが、宿で賄いきれないとは、一体どういうことなのでしょうか?

 いえ、こちらが気を使わないように、そのようにおっしゃっているだけということも考えられますね。


 わたくしがそんな風に考えていた時、やどり木亭から戻ってきた子どもたちの内の数名が声をあげました。


「あ! まだこっちにも入ってるんだった!」


 数人の子どもが背中から背負い袋を下ろすと、中から取り出されたのは、“オレジン”と“グレプー”それに、“アプロン”ではありませんか!

 “オレジン”と“グレプー”は爽やかな香りとほどよい酸味と甘さが人気の果物で、“アプロン”は『毎日食すと医者が泣く』と言われるほど、体に良いと言われている果物です。

 …これは、子どもたちの健康を預かるわたくしたちには、大変有り難い果物ですね。


 それにしても、このようにたくさん、本当にいただいても良いのかしら…。

 過分にも思えるそれらに、わたくしはそう思いながらも、その日の晩御飯では早速いくつかの果物を皆でいただいたのでした。





「これ、口に入れたらじゅわ〜〜〜〜ってなる!」

「こっちのはトゥルンってなるよ!」

「「うめー!」」

「「「「「お〜〜いし〜〜〜〜〜!!」」」」」



 きゃっきゃとはしゃぎながら、夕食のテーブルで、十分に用意された果物をいただく子どもたち。見ているだけで、こちらも笑顔になって参ります。



「「「「「「おいしいねーーー!!!」」」」」

「「「おいし〜〜〜〜〜〜!!」」

「院長先生!これ、毎日食べられるの?」


 本当にたくさんいただいたので、これからしばらくの間は、子どもたちに果物を楽しませてあげられるでしょう。


「ええ、たくさんお裾分けをいただきましたからね。しばらくは毎日食べられますよ。ただ、残念ながら果物ですから、余り日にちが経ってしまうと傷んでしまうかもしれません。その時にはドライフルーツなどにいたしましょうね」


 そう答えたわたくしに、アリーが「あ!」と声を上げました。


「院長先生! そういえば、この果物はずっと“採れたて”だよって、マリーちゃんが!」

「は?」

「えっと、なんか、そう書いてたって!」

「…そう…………それは皆喜ばしいことですね」



 わたくしとしたことが、少々言葉が乱れてしまいました。

 ずっと採れたてとは、一体、どういうことなのでしょう?

 傷まない果物? そのようなものがあったかしら?

 わたくしの頭の中に疑問符が並んでしまいます。



「なあ、アリー。この果物、やどり木亭でもらったんだろ?」

「うん、そうだよ!」

「やどり木亭ってすげーんだなあ」

「うん!でもね、本当にすごいのはマリーちゃんだよ!」

「そうなのか?」



 マリーちゃんというのは、先ほどから度々お名前が出ているやどり木亭という宿の娘さんです。わたくしも何度かお会いしたことがありますわ。

 まだ洗礼式を終えたばかりでありながら、大人と同等に宿では仕事をこなしているのだとか。

 普段は元気な女の子ですが、時折、まだ12歳とは思えないような落ち着きを感じさせる少女でしたね。

 孤児院の子どもたちが少しでも良い環境で働けるようにと、色々と計らってくれるきっかけを作ってくださったのは、驚くべきことに実はマリーちゃんだというのですから、本当に有り難いことでございます。


 そんなマリーちゃんですので、中には「マリーお姉ちゃん」と慕っている子もいるようです。年齢が近い子どもたちも、すっかり仲良くなっているようですね。



「そうだよ! マリーちゃんはすごいんだよ!」

「マリーちゃんはね、お裁縫は苦手なの。マリーちゃんが縫うと穴が大きくて、中に入れたものが出ちゃうんだよ。でもね、お手手からキラキラを出せるの!」

「そうなの!お裁縫はできないけど、キラキラが出せるの!」

「そうだよ!キラキラは、とってもキラキラしてて、すっごく綺麗なんだよ!」



 おや…マリーちゃんのお話をしているものと思っていましたが…キラキラ? 一体何のお話でしょうか?

 そう思っていたところ、この孤児院で一番やんちゃなジャスが質問してくれました。

 ジャスは物作りや体を動かすことが好きで、普段は大工の見習いをしているため、やどり木亭には行ったことがないのです。



「キラキラってなんだよ!」

「キラキラはキラキラだよ!」

「あさ、やくそうにね、マリーちゃんが、キラキラ〜〜〜ってするの!」

「は? 水やりってことか?」

「違うよ! お水じゃないよ!」

「とっても綺麗な金色の光!」



 これまでもやどり木亭でのお話を子どもたちから聞いたことはありましたが、いつも、幼児たちのお世話などで席を外すことも多かったので、そういえば、この辺りのお話は余りじっくりと聞いたことがなかったかもしれません。

 てっきり、朝日を受けて水が光る様子を表しているものだとばかり思っておりました…が、違うのでしょう…か…?



「キラキラ〜〜!って、と〜〜〜〜っても綺麗なの!」

「そう! 金色のキラキラした光だよ! お水じゃないよ!」

「こうやってね、おててをやくそうに向けて、『えいっ!』ってすると、ふわあ〜〜〜っキラキラするの!」

「へええ〜〜〜〜、よくわかんねーけど、なんかすげーな!」



「こうだよ!『えいっ!』」と真似をして見せる子どもたち。

 手をかざして、金色の光? どこかで聞いたことのあるような……はて、何でしたかしら?

 何か聞いたことがあるような、記憶にひっかるような気がいたしましたが、子どもたちの話はまだ続いており、わたくしの意識はそちらの方に取られてしまいます。



「そうなの! マリーお姉ちゃんはすごいんだよ!」

「そうだよ! このモモロンとね、他の果物も、マリーちゃんが『なったらいいな〜』って思って、次の日起きたら、薬草園に木があって、実がなってたんだって!」



 おや、“モモリン”のことをモモロンと言い間違えていますね。

 普段目にすることもないですから、仕方のないことです。

 …いえ、それよりも、今、聞き捨てならないことがあったような…?



「は? 朝起きたら木があった? 実がなってた? そんなわけないだろ…」



 ええ、ええ、ジャス。わたくしも全く同じように思っておりますよ。



「え〜〜〜、どうして?」

「だって親方がいつも言ってるぞ! 大工が家とかに使う木は、大きくなるまでに何年も何年もかかるって。だから気にはネンリンってやつがあるんだ!」

「ふ〜〜ん、そうなんだーー」

「孤児院の裏の畑に植えた野菜の種だって、芽が出て、大きくなるまでに何日もかかるだろ? それなのに、こんな大きな実をつける果物が、1日でなるとかないだろ?」

「ん〜〜〜〜、そうだね〜〜〜〜〜〜〜〜」

「わかった! 大工さんの木と、お野菜と、マリーちゃんの薬草園の木とは違うんだよ! だから、マリーちゃんのは1日でできるんだよ!」

「そうなのかなーー??」

「きっとそうだよ! だって、わたしたちね、前の日に薬草園にラベンダーの収穫に行った時、こんな実のなる木とかなかったもん」

「そうそう。 薬草園の中のラベンダーが植わってる場所も、前の日とは違う場所になってたもんね」

「そうだよ。 朝行ったら、前の日と薬草園の中が全然違う感じになってて、果物コーナーができてたんだもん!」

「薬草園の中に、果樹園ができてたもんね〜〜!」



 一体、どういうことなのでしょう?

 薬草園の中に、1日で果樹園ができていた…?…少々、いえ、大分理解が難しい気がいたしますね…。

 子どもたちの言っていることが本当なら、あ、いえ、子どもたちを疑っているわけではありません。ただ、子どもたちは発想が柔軟ですし、表現の仕方や理解の仕方は、大人と少し異なってしまうこともありますので…。

 子どもたちの話を整理いたしますと、「前日に薬草園に薬草の収穫に行った時はなかった果物の木が、翌朝行った時にはあり、しかも実をつけていた」ということになりますね?

 おまけに、「薬草園内で、薬草が生えている場所が変わっていた」?


 貴族のお屋敷でも、花も草木も、果樹も、庭師がコツコツ世話をするものです。魔法もありますが、たった1日で配置を変えられるようなことはありません。

 それも、前日までなかった果物の木が、翌日には実をつけてなっている、などということは……無い、と言い切ってもよいでしょう。

 魔導具? いえ、そのようなお話は耳にしたことがございませんし…。

 そうですね…移植すればできるかもしれません…。

 実がなった状態の果樹をどこからか運んで来て、その場所に植えれば、できるのでは無いかと思います。けれどもその場合、本日お裾分けでいただいた以上に大量の実をつけた果樹を移植した、ということになりますから、かなり大掛かりなものになりますし、相当な費用になるでしょう。

 高位貴族家でもなければ難しいように思います。



「マリーちゃんが言ってたよ! これはね、ちょっと特別なやつなんだよ〜!って」

「あ、そうそう! ぱわすぽ…なんとか?って言ってた! なんか、特別なんだってー!」

「「「言ってた〜〜〜!!」」」

「へえ〜〜〜、果物って特別なんだな。そっか、やっぱすげーなー!」



 常識で考えればあり得ないことですが、「特別」や「すごい」という言葉で受け入れられておりますね…。

 さすが、スポンジが水を吸うように、なんでも素直に吸収する子どもたちです。

 …などと言っている訳にもいかないのですが、院でも10名を超える子どもたちが、実際に「見てきた」ことだと話しているのです。

 実際にその光景を見ていないわたくしに、今の状態でそれが「有り得ないこと」「常識と違うこと」と否定してしまうことは難しいことですわ。

 なぜならば、それは「あなたたちの言っていることは嘘だ。間違えている」と言ってしまうことで、子どもたちを否定してしまうことになってしまいますから…。


 教会で神に仕えるようになり、今は孤児院長の仕事も兼任するようになり、かれこれ30年余り。

 これまでにも数々の苦難や困難に出会い、己の未熟さを感じ、葛藤を抱くことが幾度もございました。そして、今もまた、わたくしは己の未熟さを痛感しているところでございます。



「そうだ! ジャスも今度、マリーちゃんのキラキラを見に来ればいいよ!」

「そうだよ! おいでよ!」

「キラキラ、きれいだよ!」

「マリーちゃん、すごいんだから! 女神様みたいなの!」

「やどり木亭のお客さんとか、工房のおばちゃんたちはね、こっそりだけど、マリーちゃんのこと、“やどり木亭の聖女様”って呼んでるんだよ!」

「あ! それは言ったらダメなやつだよ〜。 秘密なのに〜〜!」

「あ、言っちゃった〜〜〜!」

「でも、みんなこっそり言ってるよね!」

「マリーちゃんは知らないみたいだけどね!

「そう、いやがるからこっそりね」

「そうだよ! みんな、絶対に秘密だからね〜〜〜!」



 その言葉を聞いた瞬間、わたくしは雷に打たれたような衝撃を感じました。

 確かに、先日のローベの祭りでの領主夫人の事故のお話などは伺っておりましたし、その際にやどり木亭のマリーちゃんが居合わせたというような噂も耳にはしておりました。

 彼女が何かしら関わったからなのか、その後、「ピンクの聖女」だとか「やどり木亭の聖女」などという呼び名があるらしいという噂も耳にはしておりました。

 ですが、なんと申しますか、それはあくまでも軽口程度のもの申しますか、噂は噂でしかないものと思っていたのです。

 ですが、先ほどの子どもたちの会話で、わたくしはふと思い出したのですわ。

 以前教会で読んだ古い書物に残されていた、聖女様に関する記述−−−「辺り一面に金色にきらめく雨を降らせる」−−− という文章を。

 確か、聖女様が金色にきらめく雨を降らせると、その一帯は清浄なる地となり、聖なる力が満ち溢れ、聖なる草木は生き生きとその秘めたる力を現す、というような聖女様の御業のことではなかったでしょうか?


 ……聖女様の…御業…?


 ま…まさか………。まさか、ですわよね……?

 わたくし……さすがに、飛躍し過ぎて…おり…ます…わよね??


読んでいただき、ありがとうございます!

誤字脱字報告も、大変ありがとうございます!


話の流れで区切れず、ちょっと長めになりました。

せっかく、オリバー支配人が「いただき物のお裾分けですので」とぼやかしていたのに、その支配人の気遣いを、自分で台無しにしちゃってたマリーさんでした。


更新ペースが遅くて申し訳ありませんm(_ _)m


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