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我が門の 榎の実もり食む 百千鳥
我が門の 榎の実もり食む 百千鳥 千鳥は来れど 君ぞ来まさず
(巻16-3872)
※榎の実もり食む:「榎の実」は榎の果実。赤黒い小さな実を。椋鳥が食す。
※百千鳥:群れをなした多くの鳥。
我が門に 千鳥しば鳴く 起きよ起きよ 我が一夜夫 人に知らゆな
(巻16-3873)
私の家の門の榎の実には、本当に多くの鳥がやって来て、一斉に啄むけれど、ずっと待っている肝心のあなたが来ないのです。
私の家の門で、本当に多くの鳥が鳴き騒いでいます。さあ、起きて、起きて、私の一夜夫さん、世間の人には、見つからないように。
通い婚の時代、女は男の訪れを待つだけ。
たくさんの鳥は榎の実を食べに来るけれど、お目当ての彼氏は来ないと、焦る。
しかし、いざ、彼氏が来て、共寝、一夜を過ごすと、世間の目が気になる。
寝ている彼氏を起こして(たたき起こして?)、千鳥の声に紛れて、世間に知られないように、と、帰りを促す。
特に「起きよ起きよ」が、面白い。
当時の「現実的な」男女の生活が、なんとなくわかるような歌である。




