↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Forget me not  作者: 林檎亭
PR
35/44

形勢逆転

「そうはいかないっ」

ルキアがそう発言すると同時、アニエスの身体が横から殴られたように吹っ飛んだ。

「なっ!?」

すぐさま体勢を立て直したアニエスは、何が起こったのかという顔でルキアを見た。

「何が起こったのかって顔だね。答えは簡単。10引く9は?」

それを聞いたアニエスは気が付いた。

ルキアが先程放ったホーリーレーザーは10発。

自身に降り注いだのは9発。

1発は弾いたまま、消え去ったわけではなかった。

「今のは相当効いたと思うけど、まだやる?」

ルキアはロッドの先をアニエスに向け、逆に今度は問いかける。

「これで優位に立ったおつもりですか?」

アニエスは当たり前に立ち上がる。

「そのロッドの秘密、分かりましたよ」

そう言ってルキアのロッドを指差した。

ルキアは答えない。

しかし明らかに動揺した様が分かる。

「貴女は私の攻撃を防いでいましたが、初撃と先程の膝は防げなかった。何故か? その違いはロッドの先端に付いている宝石の色でした」

そこまで指摘され、ルキアの表情は焦りから、諦めにも似たものへと変化した。

「そうだね、そこまでバレてるなら隠しても仕方ないかな。そう、このロッドには切り替え出来る2つの機能が付いてるの」

「白く輝いている時はホーリーレーザーの詠唱短縮。緑に輝いている時は自動防御、というところでしょう?」

「正解。さすがアニエスだね! でも、だからって負けないよ!」

ルキアのロッドに再び魔力が集まる。

「圧縮率1%降り注げ! ホーリーレーザー!」

ルキアのロッドから放たれた光の塊は一直線に空へと舞い上がり、まばゆい閃光と共に弾けた。 「光の雨ですか」

雨の比喩に相応しい程の光が、アニエスを中心に降り注ぐ。

「逃げ場はないよっ。さぁ、どうする!?」

ルキアの挑発にも似た問いに、アニエスは涼しい顔で返す。

「こうします」

アニエスは空を仰ぐと、迷わずルキアの方へと歩みだした。

「へっ?」

ルキアの口から素っ頓狂な声が出た。

それは目の前の光景の有り得なさに因るものだった。

アニエスは軽やかな足運びと体捌きで、雨が如く降り注ぐ光弾の中を全て避けながら進んでいく。

輝く世界で舞う踊り子のように、無駄のない流れるような動き。

ルキアが呆気に取られ、もとい見惚れていたうちに、光の雨の最後の一粒が地面に落ちた。

「一つも当たらないなんて」

「下手な鉄砲は数撃っても当たらないものですよ」

アニエスはにっこり微笑むと、一足飛びでルキアへと肉薄する。

「くぅっ! インペリアルガード!」

すぐさま自動防御状態へと切り替える。

その一瞬後、アニエスの手刀が繰り出され、すんでの所でルキアは防御に成功した。

ルキアが必死にロッドを押さえ込む反面、アニエスはいたって涼しい顔で押し込む。

「ルキア様、その自動防御……インペリアルガードですが、弱点がいくつかありますね」

「なんのことかな?」

ルキアの目が泳ぐ。

「ルキア様は本当にごまかしたりするのが下手ですよね」

「うっ」

アニエスのジト目に、声を詰まらせるルキア。

「まぁそれは今は置いておきましょう。では弱点のお披露目といきましょうか」

アニエスはそう言うと、ロッドを押し込んでいる手に力を込め、勢いよく振り切った。

「きゃぁぁぁ!」

ルキアは一瞬すら踏ん張りきれず、押し飛ばされた。

数メートル飛んだ所で、何とかバランスを取って着地する。

アニエスは人差し指をピンと立てて言う。

「これが弱点その1。防御する側の単純な腕力不足です」

攻撃自体はロッドで防げても、結局扱うルキア本人が非力なら押し負ける。

「次はその2です」

アニエスは人差し指と中指を立てると、高速で移動しルキアの視界から外れる。

アニエスはルキアのロッドを握ると、器用に片手と足払いで投げ飛ばした。

「あぐっ」

背中から地面にたたき付けられ、悶絶する。

「投げ技には対応できない、です。他にも貴女にダメージを与える方法はいくつかありますし、例え魔法攻撃に切り替えても詠唱の時間なんて与えません。もう貴女に勝ち目はありません」

だからこれ以上痛い目に合わない為に降参しろ、アニエスは言外にそう告げていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。