告白
「ところで、そろそろ聞いてもよろしいでしょうか? 何かあったのですか、ルキア様」
クロノの問いに、ルキアはしばらく間を置き、そして口を開いた。
「夢を、見たの」
「夢ですか?」
「うん、それもとびっきりの悪夢」
「内容を聞いても?」
そこで再びルキアは口を閉ざす。
そして、しばしの沈黙の後、意を決したルキアは話しはじめた。
「男の人に、抱かれる夢。結婚したら子どもを作らなくちゃいけないんだ、って思ったら、そんな夢を見ちゃったの」
「それは」
相手は誰だったんですか。
そう続けそうになって詰まった。
ルキアを気遣う言葉より先に嫉妬のような感情が出てしまう事に戸惑った。
そんなクロノの心情を知らず、ルキアは続ける。
「クロノ以外に触れられたと思ったら、寒気が止まらなくて、怖くて気持ち悪くて、死んだ方がマシだって思えて」
ルキアはクロノにしがみつき、震えながら話す。
「嫌なの。クロノじゃないと嫌。クロノにしか触れてほしくない」
夢による恐怖と、クロノの傍にいるという安心感がルキアから理性的な判断力を奪っていた。 それも仕方のないことだ。
ルキアはまだ15歳の子どもなのだから。
だからこそ、ルキアは次の一言を口にした。
「好きなの、クロノ。貴方が好き、大好き。ずっと好きだった」
吐き出すように、ルキアは自分の気持ちを零した。
自分の胸の上で泣きながら告白してくるルキア。
クロノはその姿に言葉を発することはなかった。
ただ、優しくルキアの頬を両手で包むと、ルキアの顔を自分の方へ向けた。
その顔は涙でぐちゃぐちゃになっていて、お世辞にも綺麗だとは言えなかった。
「や、クロノ、見ないで」
ルキアが顔を背けようとした時、クロノは静かに唇を重ねた。
「ん……」
唇が触れ合うだけの拙いキスだった。
しかし二人にはそれで充分だった。
そっと離れると、クロノはルキアの目を見つめながら、応えた。
「ルキア様、私も貴女を愛しています」
無表情に淡々と、ただ耳だけは可笑しいぐらいに赤かった。
突然のキスに混乱しかけていたルキアだが、そんなクロノの様子を見て、むしろ笑いが込み上げてきた。
「って、クロノ耳真っ赤じゃない! あはははは! かっこよく言っても、あはは、それじゃ台なしだよ!」
屈託なく笑うルキアに、クロノはバツが悪そうに、
「そんな事言われましても、こんな事を言うのは初めてなのですから、仕方がないではないですか」
「うん、初めて、なんだ? えへへ、嬉しいな。ありがとう、クロノ」
笑い声を収め、ルキアは照れ顔ではにかむと、嬉しそうに気持ちを口にした。
少し不満げにしていたクロノも、その笑顔を見ると溜め息をつき、
「貴女は本当に、ずるい人です」
微笑んだ。




