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『転生したらRPGの主人公でした』  作者: 新米オッさん兵士


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第14章 勇者の証と、ねじれたクエスト

移動要塞が北の山脈を越えて三日目。

俺は操縦席の隣で、地図とクエストログを睨んでいた。

「タカシ、要塞は一旦ここで止めてくれ。

この先の『星降りの谷』に、女神の加護を求める『勇者の試練』があるらしい。

四天王を倒す前に、ちゃんとステータスを強化しておきたい。」

タカシが少し不満げにレバーを引いた。

「えー、要塞でそのまま突っ込めばいいじゃん。

俺が作った魔力砲台で一気に……」

「却下。

俺は『Brave New World Online』の勇者なんだ。

ただの要塞突撃マンになる気はない。

ちゃんとRPGらしい試練を受けて、成長する。」

俺がきっぱり言うと、タカシは肩をすくめた。

「わかったよ。

お前がそう言うなら付き合うよ。

……でも、試練の最中に俺が建築しちゃダメ?」

「絶対ダメ。

試練の場を勝手に改造するなよ。」

要塞を谷の入り口に停め、俺たちは徒歩で中に入った。

谷は幻想的な光が降り注ぎ、古代の石碑が並ぶ神聖な場所だった。

中央に巨大な光の祭壇があり、そこに跪くとシステムメッセージが浮かんだ。

【勇者の試練・第三段階「心の枷を断て」】

【己の過去と向き合い、真の勇者たる資格を示せ】

突然、周囲の景色が切り替わった。

俺は前世の記憶の中に立っていた。

社畜時代、毎日残業して疲れ果て、死ぬ直前の自分の部屋。

「…………ああ、これか。」

タカシも隣に立っていた。

どうやら俺と同じ試練空間に引きずり込まれたらしい。

タカシが珍しく真剣な顔で言った。

「ユウタ……これ、お前の死ぬ前の記憶だよな。

俺、転生したお前を見て、毎日このゲームやってた。

『ユウタの代わりに、俺がこの世界を楽しんでやる』って……

でも、結果的に、お前を苦しめてたよな。」

俺は静かに息を吐いた。

「まあな。

でも、今はもういい。

お前が変態プレイしてくれたおかげで、俺は完全に自由になれた。

……感謝してる部分も、ちょっとだけある。」

光の祭壇が輝き、俺のステータスに新たなスキルが追加された。

【スキル獲得:自由意志の解放(EX)】

【プレイヤーの干渉を完全に無効化可能。仲間との連携を強化】

さらに、タカシにも変化が起きた。

【サブキャラクター登録:建築賢者タカシ】

【勇者との絆により、特殊建築スキルが強化されました】

タカシが目を輝かせた。

「すげえ! 俺にも正式に役割が与えられた!

これで『勇者の相棒』として堂々と変態……じゃなくて、戦略的建築ができるぞ!」

「戦略的って言い訳すんなよ……」

試練を終えて谷を出ると、俺のレベルが一気に上がっていた。

レベル72 → 89。

チートスキルもさらに磨かれ、剣の光がより強力になっていた。

その夜、要塞の上で焚き火を囲みながら、

俺たちは次の四天王について話し合った。

「次は『影の四天王・ヴェルティス』。

幻術と暗殺が得意で、影から攻撃してくるタイプらしい。

正面から戦うと不利だ。」

タカシが地図を指差しながら言った。

「じゃあ俺が要塞の周囲に『魔力探知結界』を張るよ。

影を物理的に封じる建築を追加する。

お前は光属性スキルで幻術をぶち破ってくれ。」

俺は少し考えてから頷いた。

「悪くない……いや、結構いい作戦だな。

お前、プレイヤー時代はただの変態だったけど、

今はちゃんとRPGの戦略を考えてくれてる。」

タカシが照れくさそうに笑った。

「だって今は一緒にクリアする側だもん。

昔みたいに『面白ければいい』じゃなくて、

ユウタと一緒に現実に戻りたいから、真剣だよ。」

俺は軽くタカシの頭を小突いた。

「素直に言えよ、バカ。

……まあ、俺もだ。お前と一緒にクリアして、

現実でまた普通にゲームやろうぜ。

今度は俺がプレイヤー、お前が主人公な。」

「その時は俺も変態プレイ禁止な!」

「約束するよ。」

翌朝、要塞は再び動き出した。

今度は俺の指示で、必要以上に山を削らず、

自然を尊重しながら北上する。

RPGらしい旅の雰囲気を大切にしながらも、

タカシの建築は「サポート」として最小限に留めるよう心がけた。

道中で出会った旅人や冒険者たちから、

魔王軍の新たな動きを聞くこともできた。

ヴェルティスが影から街を襲っているという情報……。

俺は剣を握りしめ、心の中で誓った。

「俺は勇者だ。

ただの操り人形じゃない。

この世界を、ちゃんと自分の意志で救ってみせる。」

タカシが隣でニヤリと笑った。

「俺も建築賢者として、ちゃんとサポートするよ。

……少しだけ、要塞改造してもいい?」

「却下。でも、結界だけは頼む。」

二人の笑い声が、要塞の中に響いた。

『Brave New World Online』の物語は、

ようやく本当のRPGらしい展開を取り戻しつつ、

親友二人の絆を深めながら、

クライマックスへと向かっていた。

第14章 終わり


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