↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】可愛い子を十人集めたいだけだったのに、なぜか帝国を救うことになりました  作者: ごまだんご
第7章 世界の秘密編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/98

第71話 「帰ろう」

神代の施設での調査は終わりを迎えていた。最後まで分からないことは多かった。古代文明。ダンジョン。神器。封印。世界が滅びかけた戦い。神代の記録。知ったことは多い。だが同時に、分からないことも増えた。


それでも調査隊は成果を持ち帰ることになった。帝国の学者たちは忙しそうに記録をまとめている。カレンなど完全にその一員になっていた。


「帰りません」


真顔だった。


「帰れ」


ティアが即答する。


「研究が」

「帰れ」

「資料が」

「帰れ」


結局連行されそうになったところで、カレンが隊長の元へ駆け寄った。


「隊長、お願いがあります」

「なんだ」

「学者の皆さんと一緒に、資料整理のためこちらに残らせてください。帰りは調査隊の便に同乗させていただければ」


真剣な顔だった。隊長はしばらく考え、それから頷いた。


「学者たちの許可が取れるなら、構わない。だが、単独行動は禁止だ。必ず誰かと一緒に動け」

「約束します!」


即答だった。ティアが呆れたようにため息をつく。


「結局残るのか」

「正式な許可、もらいましたから」


胸を張るカレンに、これ以上は何も言えなかった。


「向こうで、また会おう」

セリナが声をかける。

「はい、必ず!」


こうして、カレンだけは学者たちの調査隊とともに、しばらく現地に残ることになった。帰りは別便での帰還となる。


---


一方、リリアたちは地下都市の出口へ向かっていた。来た時は長く感じた道。だが帰りは不思議と短く感じる。


「終わっちゃったね」

ユナが呟いた。

「そうですわね」


エレノアも頷く。世界の秘密に触れた。神話のような話を聞いた。地下に眠る都市も見た。空飛ぶ都市の記録も見た。数週間前なら誰も信じなかっただろう。


「変な旅だった」

フィアナが笑う。

「ダンジョンありましたし」

ルシェ。

「神代もあった」

ノア。

「神器も古代技術だった」


セリナ。全員少しずつ笑う。本当に変な旅だった。


---


その時だった。後ろを歩いていたルナが立ち止まる。足音が止まる。リリアが振り返った。


「どうしたの?」


ルナはしばらく地下都市の奥を見つめていた。静かだった。いつものような笑顔もない。お菓子も持っていない。珍しかった。


「お別れ」


ぽつりと言う。全員が立ち止まった。ルナは地下都市を見る。壊れた都市。失われた文明。長い時間の果てに残された世界。


「知り合いがいっぱいいた」


小さな声だった。誰も何も言わない。神様だった。ルナはこれまでずっと昔を知っていた。神代も。古代文明も。世界が今とは全く違った頃も。そしてその全てを失った。


「寂しい?」

リリアが聞く。


ルナは少し考える。そして笑った。


「ちょっとだけ」


その返事に、何となく安心した。


「じゃあ帰ろう」


リリアが言う。


「私はいるし」


ルナが固まる。


「みんなもいる」


当たり前みたいな声だった。


「だから大丈夫」


静寂。フィアナが苦笑する。


「慰め方が雑」

「リリアですから」

ルシェ。

「リリアだな」


セリナ。満場一致だった。しかしルナは笑った。今度は本当に楽しそうだった。


「うん」


短く頷く。


「帰ろう」


こうして調査は終わった。巨大な穴を上る。何日もかけて。少しずつ。やがて、眩しい光が見えた。久しぶりの青空だった。


「おおー」


リリアが感動する。


「空だ」

「当たり前ですわ」


エレノアが笑った。地下生活が長かったのだ。風も気持ちいい。ユナが大きく背伸びをする。フィアナも目を細める。ルシェなど本気で嬉しそうだった。


「太陽ですね!」

「太陽だな」


少し感動が薄かった。


---


帝都へ戻る馬車の中。みんな疲れていた。しかし悪い疲れではない。達成感だった。


セリナは眠る。ユナも眠る。ノアも眠る。ルシェも眠る。フィアナも眠る。エレノアも眠る。ミレーユも眠る。ティアも眠る。気付けば、ほとんど全員が眠りに落ちていた。


リリアだけ起きている。窓の外を見る。流れていく景色。目を閉じる。地下都市で見たものを思い出す。


未来へ託す。あの言葉。昔の人たちは未来を信じた。だから記録を残した。だから封印した。だから世界を守った。


リリアには難しいことは分からない。古代文明も。神代も。政治も。歴史も。全部は理解できない。それでも一つだけ分かっていた。守りたい人がいる。それで十分だった。


---


夕方、帝都が見えてくる。巨大な城壁。賑やかな街並み。人々の暮らし。見慣れた光景。けれど少しだけ違って見えた。世界を知ったからだ。


帝都は広い。でも世界はもっと広い。知らないことも多い。まだ見たことのない場所もある。そして、まだ終わっていない問題もあった。


馬車が帝都へ入る。その時、遠くから鐘の音が聞こえた。一回。二回。三回。様子がおかしい。


「警報?」


セリナが目を開く。フィアナも起き上がる。眠っていた全員が、次々と目を覚ました。街の様子が慌ただしい。兵士たちが走る。人々が集まる。何かあった。


「嫌な予感」


ミレーユが呟く。全員同意だった。リリアだけは首を傾げる。


「何だろう」


ルナが窓の外を見る。珍しく笑っていなかった。そして小さく呟く。


「早かったなぁ」


その一言に、リリアたちは顔を見合わせる。何が早かったのか。まだ分からない。だが確実に、何かが始まろうとしていた。


人助けから始まった旅。仲間を集めるための冒険。可愛い子を追いかけていただけの毎日。その積み重ねが、やがて帝国の未来へ繋がっていく。


少女たちはまだ知らない。これまで助けてきた人々が。これまで繋いできた縁が。これから訪れる最大の試練を支えることになるのを。


そして、帝国と同盟国の運命を変える戦いが、静かに幕を開けようとしていた。

新作「おとぎ話の試練を全部クリアしたら最強でした」8月25日より開始いたしました。よろしければこちらもお立ち寄りください。

https://ncode.syosetu.com/n1847mq/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。